映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

愛がなんだ

2019年04月24日 | 映画(あ行)

恋愛感情を突き抜けて「好き」ということ・・・

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NHK朝ドラ出演で一挙に知名度が上がった岸井ゆきのさん出演。
原作は角田光代さんです。



28歳OLテルコ(岸井ゆきの)は、マモル(成田凌)と付き合い始めてから、
生活がすっかりマモル中心になってしまいました。
仕事中でも真夜中でも、マモルを最優先。
そんなわけで仕事に全くやる気を見せないので、とうとうクビになってしまいます。
しかし、こんなテルコの思いとは裏腹に、マモルの方は彼女に全く恋愛感情を抱いていない。
単に都合のいい女と思っているようです。
ある時、マモルに呼び出されたテルコは、
すみれ(江口のりこ)という風変わりな女性を紹介されますが・・・。

正直私は、こんなふうに自分をなくしてまで男に尽くそうという女性が、
どうにも好きになれません。
おまけに仕事まで失って、「どーすんのよ、バカ!」と、
テルコを罵りながら見ていました。
そしてマモルはテルコに愛情を見せるどころか、すみれを恋しており、
テルコがマモルとすみれの橋渡しのような役割まですることになってしまうのです。



しかしそれでもテルコはめげない。
これはもう、愛だの恋だのではなく、単に“執着”というべきところまで行き着いてしまいます。
しかしなぜでしょう、次第に私はそんな彼女に惹かれていくのです。
男女の性愛の関係は、その場限りのもの。
(あ、結婚はその場限りというわけではないけれど・・・。)
けれど体の関係を排除した友人関係のほうが、
もしかしたら一生モノになるのかもしれない。
時には一緒に食事したり飲んだり、具合が悪い時には助けあったり。
そして互いに生活は自立していて、縛られない。
なんだかこれからの男女関係の先端を行っているような感じになってきています。



けれどテルコは今風にクールでも淡白でもなくて、
マモルに一体化してしまいたいほどに大好き。
この不可思議な関係性になんだかしびれてしまうのです。
テルコに悲壮感はない。
うん、悪くない。
実に、興味深い味わいのある作品。

<ディノスシネマズにて>
「愛がなんだ」
2019年/日本/123分
監督:今泉力哉
原作:角田光代
出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこ
恋愛度★★★☆☆
執着度★★★★★
満足度★★★★☆