その映画、見てない・・・
* * * * * * * * * *
映画の話をしているはずが、
いつのまにか自分たちの何かを語ってしまっている。
「ねえねえ、あれ観た?」「うわー、それ観たい!」
映画と物語をこよなく愛し、生活に不可欠なものと断言する仲良しの女性作家ふたりが、
いい女、いやな女、食べもの、三角関係、いい男、老人、子供、ラブシーン
などのテーマで選んだ100作以上の映画について語り尽くす一冊。
読んだらきっと、観たくなる!
* * * * * * * * * *
井上荒野さんと江國香織さんの映画にまつわる対談集。
一本の映画について詳しくというよりも、
「いい女」、「食べ物」、「ロードムービー」などテーマを決め、
それにまつわるいくつかの作品について触れていきます。
私は人よりも多く映画を見ていると自分では思っていますが、
それを始めたのがせいぜいここ15年くらい。
しかるに彼女らは若かりし頃からずーっとコンスタントに見ているようですね。
もちろん、DVDなどで見たものも含まれているとは思いますが。
そんなことで、古今の作品について触れられている本書中、
私が見ていないものも多々あります。
そしてまた彼女らの好みが、「ハートウォーミング」はダメ、と結構手厳しい。
私、精神年齢がお子ちゃまなので、
やはり幸せを感じるエンディングのほうが嬉しいですし・・・。
でもまあ、物語の語り手である彼女たちがそのように言うのはもっともだなあ、
と納得はできます。
そして、映画の一シーンで多くのことを語ることができるのは素晴らしいと
彼女たちは言います。
これを文章で表そうとしたら、ものすごく多くのことを描かなければならい、と。
映画なら、画面の明るさ、音楽、背景、
例えば空の青さだけでも多くのことを語りかけるといいます。
確かに、そうですね。
だから監督の手腕が問われたりするわけだ。
対談中に登場した作品については、いつの誰の作品であるのかなど
簡単な説明もついているので、映画選びの参考として十分活用できます。
私も見てみたいものがたくさん!
図書館蔵書にて
「あの映画見た?」井上荒野×江國香織 新潮社
満足度★★★.5