40年の精神病院生活を経て
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取り壊しが決まった精神病院から転院する患者たちを診察するため、
精神科医スティーブン・グリーンが(エリック・バナ)病院を訪れます。
そこで彼は、ある一人の患者を診察します。
彼女、ローズ・クリア(バネッサ・レッドグレーブ)は、
自身の赤ん坊殺しの精神障害犯罪者として40年もの間、この病院に収容されていたのです。
ローズは、自分は結婚していて正しくはローズ・マクナリティであり、
赤ん坊は殺していない、今もきっとどこかで生きていると主張します。
そして彼女は何十年にも渡り聖書に日記を書き続けていて、
スティーブンはそれを眺めながらじっくりとローズの人生の物語を聞き始めるのでした。
1940年代のアイルランド。
二次世界対戦のさなかです。
若きローズ(ルーニー・マーラ)は飛行機乗りの青年マイケル(ジャック・レイナー)と恋仲になりますが、
ゴーント神父(テオ・ジェームズ)が横恋慕して・・・。
なんとも悲劇としか言いようがありませんが、
なんの罪もなくしかも精神にも異常はないというのに、
40年も精神病院に閉じ込められ、年老いてしまった一人の女性の悲しい人生が浮かび上がります。
しかし、本作を見ているうちに私たちは「ある予感」にドキドキしてくることでしょう。
まさか・・・、もしかして・・・?
悲惨な出来事の果てにある驚きの結末に心震えます。
作中でよくわからなかったのが村の中でのマイケルの位置づけ。
それこそがアイルランドの置かれている複雑な状況をこそ物語っているわけです。
根本的にはカトリックとプロテスタント、宗教上の対立。
マイケルは戦闘機のパイロットになりたいがために英国軍に入ったわけですが、
この村ではそれは “イギリス人のために戦った裏切り者”という扱いを受けてしまうわけなのです。
そしてまた、当時のことですから、美人でちょっと男性の目を惹きつける若い女がいれば、
男性とちょっと言葉をかわすだけでも“色情狂”と噂されてしまう。
ましてや、未婚で妊娠でもすればもう身の破滅。
そこへまた、嫉妬に我を忘れた神父(神父なのに!)の存在。
何もかもが良くない材料ばかり・・・。
こうなると、狂った人が病院に収容されるのではない。
病院が狂った人を作り出すという感じです。
でもそれだからこそ、ラストの感動は大きいのです。
役柄は最悪だったけれど、ゴーント神父役のテオ・ジェームズはカッコよかったですー。
なんとこの方、TVドラマ「ダウントン・アビー」で、トルコの外交官を演じていた方だったんですね!
あのときも、「イケメン!」と思い、こんな人に言い寄られたら、そりゃー拒めないよね
・・・と思った次第。
しかしあっという間に画面上からは消えてしまいました。
でも実はこのことが後々この屋敷に暗い影を落としていくわけで、すごく重要な役だったのですが。
余談が過ぎましたが、オススメ作です。
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ローズの秘密の頁 [DVD] |
ルーニー・マーラ,ヴァネッサ・レッドグレイヴ,ジャック・レイナー,テオ・ジェームズ,エリック・バナ | |
TCエンタテインメント |
<WOWOW視聴にて>
「ローズの秘密の頁(ページ)」
2016年/アイルランド/108分
監督:ジム・シェリダン
原作:セバステャン・バリー
出演:ルーニー・マーラ、バネッサ・レッドグレーブ、エリック・バナ、テオ・ジェームズ、ジャック・レイナー
悲劇度★★★★★
ハッピーエンド度★★★★☆
満足度★★★★★