あの世から、「生きる」ことを考える
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大きな橋から落下し、気づくと三途の川に辿り着いていた小学六年生の叶人は、
事故か自殺か、それとも殺されたのか死因がわからず、そこで足留めに。
やがて三途の渡し守で江戸時代の男と思しき十蔵と虎之助を手伝い、
死者を無事に黄泉の国へ送り出すための破天荒な仕事をすることになる。
それは叶人の行く末を左右する運命的なミッションとなった。
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西條奈加さんのファンタジー。
小学6年の叶人は気がつくと三途の河原にいます。
どうやら死んでしまったらしい・・・。
しかし、橋から落下したということはわかっているけれど、
それが事故なのか、自殺なのか、それとも他殺なのかわからないということで、
そこで足留めされてしまうのです。
そして、三途の川の渡し船の手伝いをすることに。
死者たちの中にはあまりにも生きていたときの念が強すぎるものもいて、
時には叶人は、相棒の十蔵、虎之助と共に生者の世にもどり、
死者の思いを解きほぐすことも・・・。
そんな中で、十蔵や虎之助自身の生前の出来事を知るようになり、
そしていよいよ叶人自身の死の事情へと話が進んでいくのです。
戦争では何十人を殺しても罪にはならず、むしろ英雄視されるのに、
戦争でないところで殺人を犯せば大罪なのは何故なのか。
地獄に送られた人の本当の責め苦とは・・・。
死をテーマにすることはすなわち、生をテーマとすることでもあるのでした。
地獄の事務処理もパッドで行う、今のあの世。
豊かなイマジネーションも楽しめます。
「三途の川で落とし物」西條奈加 幻冬舎文庫
満足度★★★☆☆