最高の料理とは
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19世紀末、フランスの片田舎。
食を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンは、
彼がひらめいたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニーと共に暮らしています。
親しい友人たちを招いて開く晩餐会は、
2人にとっても友人たちにとっても至福の時。
そんなある時、ユーラシア皇太子から晩餐会に招かれたドダン。
けれど、ただ豪華なだけで退屈な料理にウンザリ。
ドダンは、最もシンプルなフランスの家庭料理ポトフで皇太子をもてなすことを思いつきます。
しかしそんな矢先、ウージェニーが倒れてしまい・・・。
本作冒頭にかなり長く調理シーンがあります。
ウージェニーが中心で、時にはドダンも手伝い、
助手の女性はほとんど下ごしらえや簡単な作業、
そしてもうひとり、見学をしている少女。
広い台所を手順を先読みして動き回るウージェニーのその手さばきは、
迷いがなく手早く美しい。
映像に伴って聞こえる水音、鍋をかき回す音、食材の焼ける音・・・
もうこれ、絶対においしいヤツ!と、
見るだけで確信できてしまいます。
素材をどのように調理すればそのおいしさを最も引き出すことができるのか・・・、
そうした探求の結果であるかのような料理の数々。
そして、ドダンやウージェニーとも親しい友人たちが集い、
極上のワインで語らいながら料理を堪能する。
気取ってもったいぶった場所ではなくて、
こうした場で食べることがまた、料理の最後の味付けとなってもいるようで。
憧れます・・・。
さて、ドダンとウージェニーは、ときおり夜にドダンがウージェニーの部屋を訪ねるという間柄。
ドダンは結婚したいと思っているのですが、ウージェニーの答えはノーです。
そこのところが現代風なのですが、
つまりウージェニーは結婚がどれだけ女性の自由を妨げるかをよく分っている。
今のままの方が、2人の関係をうまく維持できると思ったのではないかな?
けれど、ウージェニーの体調悪化によって、彼女の気持ちも変わっていく・・・。
ドダンが作り出すポトフはどんなだったのか?
それを見届けたかった・・・。
<Amazon prime videoにて>
「ポトフ 美食家と料理人」
2023年/フランス/136分
監督・脚本:トラン・アン・ユン
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル、エマニュエル・サランジェ、
パトリック・ダヌンサオ、ガラテア・ベルージ
食欲増進度★★★★★
恋愛度★★★★☆
満足度★★★★☆
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