映画をもっと深掘りしたい方に
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本書『九十歳。何がめでたい』というタイトルには、
佐藤愛子さん曰く「ヤケクソが籠っています」。
2016年5月まで1年に渡って『女性セブン』に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。
大正12年生まれ。
現在93歳の佐藤さんは2014年、長い作家生活の集大成として『晩鐘』を書き上げました。
その時のインタビューでこう語っています。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。
作家としての私は、これで幕が下りたんです」
(「女性セブン」2015年2月5日号より)
その一度は下ろした幕を再び上げて始まった連載『九十歳。何がめでたい』は、
「暴れ猪」佐藤節が全開。
自分の身体に次々に起こる「故障」を嘆き、時代の「進歩」を怒り、
悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。
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先日、映画「九十歳。何がめでたい」を見たところで、
ついでながら原作本の方も読んでみましょう、ということで。
本作を読んで感じたのは、映画化の際に、
実にうまくこの本の内容を活用して取り入れているのだなあ・・・ということ。
作中の多くのエピソードが映画の中に取り込んである、
その妙に、いたく感じ入ったのでした。
映画でも最初の方にあったのですが、
佐藤愛子さんは新聞の人生相談の欄がとてもお気に入り。
だから本巻の中にも、それに関する話がいくつか出てきます。
そして相談者の悩み自体について、まず憤りを感じ、
けれどその回答者の実にそつなく相談者に寄り添う回答を読むに付け、
自分にはとてもできないとおっしゃる。
昨今、なんでそんなことをいちいち他人に「相談」するのか
と思ってしまう「悩み」が多いことも事実。
私には、やはり佐藤愛子さんの言い分がしっくりきます。
こんな風に、辛口の全く役に立たない人生相談回答があっても面白いのに、と思ったりして。
・・・誰も相談の投書をよこさなくなるかな?
総じて、映画の増補版みたいな感じのこの本は、
映画を気に入った方ならやはり読んでみるのも良いかもしれません。
「九十歳。何がめでたい」佐藤愛子 小学館
満足度★★★★☆
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