光っているのは本当に「恋」なのか
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秋★枝の同名コミック実写映画化。
「恋をする女性が光って見える」という特異体質の大学生・西条(神尾楓珠)。
自身は恋愛とは無縁の生活をしています。
ある日、「恋というものを知りたい」という文学少女・東雲(しののめ)(平祐奈)と出会い、一目惚れ。
二人は、恋の定義について語り合う交換日記を始めます。
一方、西条にずっと片想いをしてきた幼馴染みの北代(西野七瀬)は、
そんな二人のことが気になってしまいます。
そしてまた、彼女がいる男性ばかりを好きになってしまう宿木(やどりぎ)(馬場ふみか)は、
西条を北代のカレシと思い込み、西条へアプローチを始めます・・・。
恋をしている女性が光を発している・・・
キラキラと光の雫がこぼれ落ちるような・・・
確かに美しくてまばゆい映像。
そんなものが見えてもどうにもならない・・・と、西条は思っています。
さてところが、西条は幼馴染みの北代が光っているのを見たことがないというのです。
ずっと西条にひそかに思いを寄せている北代にとってその言葉はショック。
私の西条に向ける思いは「恋」ではないというのか・・・?
それともハナから対象の相手という認識すらないからなのか・・・?
いつも愚痴を言ったり聞いたり、気兼ねなく話をすることのできる相手
という互いの認識とは裏腹に、どうも恋に発展することはなさそう・・・。
そんなだから北代は、西条がめずらしく東雲という女子に興味を持っていることを知って、
つい応援してしまうのです。
いじらしいぞ、北代。
さて、西条という男はちょっと変わっていて、話し言葉が文語調で理屈っぽい。
まるで森見登美彦さんの小説の登場人物のよう。
そして、彼が思いを向ける東雲さんというのもまた、西条と似ていて、理屈好き。
だから、「恋の定義」などというめんどくさそうなテーマで、
盛り上がって論議できるのです。
似たもの同士で良いカップルのようにも思えますが、
必ずしも自分と似た相手がよいとも限らないわけで・・・。
東雲さんもまた、聡明な子なので、
自分と西条のことだけでなく、北代との関係についても考えを巡らせることができるのが良いです。
それで、結局西条が見る「光」とは何なのかという問題になっていくのですが・・・。
私は思うのです。
西条は「恋」を光で見ることができるけれど、「愛」は見えていないのではないかと・・・。
例えば何十年も連れ添った夫婦の女性側を見てみる。
おそらく恋の光は見えないでしょう。
だってそこにある感情は「恋」ではなくて「愛」だから。
だから北代が幼い頃から育ててきた西条への感情は、
もはや恋ではなくて愛なのでは・・・?と。
映画の結論はこうではないのですけれど・・・。
そもそも、本作中で西条が見るのは若い女の子の光ばかり。
オバサンだって、婆さんだって、恋ぐらいするぞ!!
<Amazon prime videoにて>
「恋は光」
2022年/日本/111分
監督・脚本:小林啓一
原作:秋★枝
出演:神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈、馬場ふみか、伊東蒼
変人男子度★★★★☆
片想い度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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