映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

偽りの人生

2013年07月28日 | 映画(あ行)
どちらが“偽り”なのか



* * * * * * * * * *


アルゼンチン作品ですが、なぜビゴ・モーテンセンかといえば、
氏は子供の頃アルゼンチンに住んでいたことがあるそうなのです。
それで、スペイン語も話せるということで抜擢されたそうなのですが、
これがもう、バッチリの配役でした。



アルゼンチン首都ブエノスアイレスの医師アグスティン(ビゴ・モーテンセン)は
裕福で社会的地位も手にしていながら、
生きることに虚しさを感じています。
妻ともうまく心を通わせられなくなってしまっています。
そんなとき、長く離れていた一卵性双生児の兄ペドロ(ビゴ・モーテンセン、二役)が訪ねてきます。
ペドロは末期ガンに侵されており、
自分を殺してくれとアグスティンに頼みます。
当惑するアグスティンですが、ふとしたきっかけで、兄を殺害してしまう。
そして、思うのです。
これは新たに人生をやり直すチャンスなのではないか、と。
兄は二人の故郷ティグレで養蜂業を営んでおり、
いかにも気楽な商売とアグスティンは思ったのでしょうね。
確かに都会人が憧れそうな・・・。
そこで、アグスティンはペドロになりすまし、ティグレを訪れますが、
そこで、兄が関わっていた犯罪に巻き込まれて行きます。


 

アグスティンは様々な困難に遭遇するわけですが、
始めは“ペドロ”の模倣。
けれども次第にその“ペドロ”は
アグスティン側に引き寄せられていきますね。
「偽りの人生」それは、アグスティンが手に入れたニセの人生のことだと思って見始めたわけですが、
今、それは違うように思われてきました。
都会の中で、自分を押し殺し、人々の期待する方へ、模範的な生き方を続けていたアグスティン。
彼の中で、これは本当の自分ではない。
これは偽りの人生だ・・・とそういう思いがあって、
生きる意欲をなくしていたのではないでしょうか。

彼は本当の人生を手に入れるために故郷へ帰ってきた、
そう観るほうが自然であるような気がします。



双子の二人がそれぞれに同じ本を愛読していた、というのがいいですね。
性格が全く違う兄弟だというのに。
ビゴ・モーテンセンが、この二人をさり気なく演じ分けているのはさすがでした。
決してわざとらしくなく、微妙に、というところがミソです。
また、さほど気持ちがあっていない夫婦でありながら、
奥さんの感の鋭さはスゴイ。
たちまちニセペドロの正体を見抜きますね。
女は怖いですよ、男性の皆様。

 

さて、ついでながら、本作の上映館でクリアーファイルをいただきました!! 
ビゴ・モーテンセンの写真入り!! 
これがブラピとかレオ様の写真なら、そんなもの要らないわ・・・というところなのですが、
ビゴ・モーテンセンですからね。
無頼でもインテリでも似合うなあ・・・
私的には極めてラッキー!!


「偽りの人生」
2012年/アルゼンチン・スペイン・ドイツ/117分
監督:アナ・ピターバーグ
出演:ビゴ・モーテンセン、ソレダ・ビジャミル、ダニエル・ファネゴ、ハビエル・ゴディーノ、ソフィア・ガラ・カスティリオーネ

ビゴ・モーテンセンの魅力度★★★★★
満足度★★★★☆


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