映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ハンナのいない10月は」相川英輔

2021年02月15日 | 本(ミステリ)

二重の成長物語

 

 

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狙われた大学公印、学生自治会長選挙の不正疑惑、
大学御用達の定食屋の後継者問題、女子生徒の洋服盗難、
学生への不公平な単位付与―
森川とハンナが辿り着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは?
優しい涙が溢れる傑作!

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大学内のちょっとした事件を描きます。

就職活動で、「文学」の出席日数がどうしても足りなくなってしまった佐藤大地は、
担当教員である森川の元を訪ね、どうにか単位をくれるように頼もうとします。
ところが、森川はちょっと変人(?)で、
研究室にびっしりとある本の中から、
森川が一番好きな本を当てれば単位をやる、というのです。
せっかく就職が決まったのに、ここで卒業し損ねるわけに行かない・・・、
というわけで、大地の研究室通いが始まります・・・。

という出だしで始まる本作、
大地のストーリーかと思ったら、どうやら主役は森川の方だったようで、
結局森川の成長物語でもあった・・・。

面白く読めたのですが、少し物足りないところもありました。

大地の成長ストーリーなら納得できますが、
こういう場合、指導の立場の教員はもっとクールな大人であって欲しい。
森川も悪くはないのだけれど、イマイチ大人になりきらないというか・・・
結局二重の成長物語であり、探偵役も大地であったり森川であったり、
定まらないのもすっきりしない。

猫がでてくるのはいいけれど、猫に依存しすぎでもある。

大学内のスパイ事件は、なんだか子供だましみたい。

ということで、ちょっと食い足りなかった感じです。

<図書館蔵書にて>

「ハンナのいない10月は」相川英輔 河出書房新社

満足度★★★☆☆

 



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