借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)垣根 涼介新潮社このアイテムの詳細を見る |
さて、「君たちに明日はない」の続編です。
2巻通して、ハイスピードで読んでしまいました。
あまりにも面白いので。
こちらも前巻のそのまま続きで、
リストラ請負人真介と、その8つ年上の陽子を中心に、
様々な人たちと仕事のかかわりを描いています。
「女難の相」では女性恐怖症の男性登場です。
保険会社に務めている松本。
彼は若い頃のトラウマがもとで女性が苦手。
あるところまでは順調に成績を上げて勤めてきたのに、
海千山千の保険のおばちゃんのたむろする職場に配置されてからは、アウト。
職場に出るのも苦痛。
周りからも信頼できる上司とは受け取ってもらえない。
ほとんどノイローゼで限界を感じ、
今後も出世は望めない部署に自ら希望し異動していた・・・という、
聞けば涙、語るも涙の話。
これはつらい・・・。
真介はふと、思います。
「女を嫌いなんて、俺にはとうてい信じられない。」
はい、そうでしょうとも!
この方は、そんなこともあって、真介のとの面接の時にきっぱり言ったのです。
「だから、辞めることにしました。もう決めましたから。」
う~ん、カッコイイですね。
潔い。
「会社をやめたって別に死ぬわけじゃない。」
そういったある人の言葉が後押しになりました。
まあ、今時次の仕事が簡単に見つかるわけでもないのでしょうけれど、
こういう思い切りも、人生には必要なときがあるのかも知れません。
この本の題名になっている「借金取りの王子」もいいんですよ。
今度は消費者金融の会社です。
ターゲットは三浦。
ちょっとないくらいの美男子!
しかし、実情を聞けば聞くほど涙ぐましいというか、
激烈なノルマに追われ、ストレスたまりまくりの仕事のようです。
この人がそれでも耐えて頑張っていたのは、実はある女性のため。
泣かせますねえ。
純愛です。
自分の気持ちを貫き通す人ってカッコイイ。
それもナイトの精神を持って。
これぞ王子様。
ここでは、さしものお似合いカップル、真介と陽子もかすみます。
それから、なんと最後の「人にやさしく」では、
真介が違う部署の担当になります。
今度は人材派遣。
これですよ、これ。
どんどんリストラしたら人が余るわけですよね。
首をきるだけじゃなくて、新たな職の斡旋もすればいいのに・・・と、
ひそかに思っていました。
なにも、無能だから首になったわけではない。
会社の都合でやむなく退職に追い込まれた人がほとんど。
そこには様々なキャリアを持った人がどっさりいるわけです。
これを生かさない手はない!
マジで、いいですね、この会社。
この章では、ちょっぴり陽子さんの気持ちが揺れます。
真介はやっぱり若すぎるのではないか・・・。
もっと、大人の余裕がある人もいいなあ・・・。
振られるのか、真介?
でもこの、仕事好きで熱心で、軽薄なようだけど実はすごく気遣いができる、
こんなヤツ、捨てたら一生の不覚ですよ~。
満足度★★★★★
も含めて、とても面白そうですね。
内容も会社を舞台としているようなので、
自分のような会社員にとっては、
とても、刺激になりそうです。
面白そうですね。
チェックしなきゃ。
これはほんとにいいですよ。
このユニークな会社もいいし、主人公二人のカップルもいい。
人物に魅力があるストーリーは、どんどん読み進めてしまいますね。
私しばらく所用であわただしく、劇場へ新作映画を見にいけませんでした。
禁断症状・・・!
次の週末こそ、いくぞ!
中でも「借金取りの王子」の二人が素敵でした。現実には私はこんなにカッコイイ生き方はできないのですけれど。
作者の垣根 涼介さんは、きっと美意識の強い方なのだろうな。多分ハードボイルドな感じ…などと勝手に想像しています。
新しい世界を紹介いただきありがとうございました。
気に入っていただいて幸いです。
私にとっても、これまであまり読まないようなジャンルだったのですが、この本は傑作でした。
これで垣根涼介さんになじんだら、「ワイルド・ソウル」もいいですよ。