純愛か。犯罪か。
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アメリカで実際にあったスキャンダルを題材にしています。
20年前、当時36歳の夫も子どももあるグレイシー(ジュリアン・ムーア)は、
13歳の少年ジョーと運命的な恋に落ちます。
しかし2人の関係は大きなスキャンダルとなり、
グレイシーは未成年と関係を持ったことで、罪に問われて服役。
そしてその獄中でジョーとの間にできた子供を出産。
出所後、2人は晴れて結婚します。
それから20年以上が過ぎて、いまだに嫌がらせを受けることもあるけれど、
2人とその子どもたちは何事もなかったかのように幸せに過ごしていました。
そんな2人を題材にした映画が制作されることになり、
グレイシー役を演じるハリウッド女優、エリザベス(ナタリー・ポートマン)が、
役作りのリサーチのため、グレイシーの元へやって来ます。
エリザベスは執拗なほどに夫婦を観察し、質問をします。
夫婦はこれまで見ないようにしていた自らの過去と改めて向き合うことになります。
題名の「メイ・ディセンバー」は、年齢差のあるカップルを指す慣用句とのこと。
女性が20歳以上も年上というのは、まあ、なくもないでしょう。
けれど、男性の方が13歳というのは、やはり異常のような気がしてしまう・・・。
現在、当時のグレイシーとほぼ同じ年齢となっているジョー。
たぶんこれまで世間からは色々と批判やら嫌がらせを受けつつも、
純粋にこれは「愛」なのだと信じ続けていたことでしょう。
エリザベスは冷静にこの夫婦の真実を見つけ出そうとします。
そんな中でかすかに感じ取るのは、この家は、グレイシーがすべてを支配しているということ。
そうは見えないように、うまく繕ってはいるのだけれど、
家族はみな彼女の顔色をうかがいながら過ごしているようでもある。
13歳の少年が20歳も年上の女性にのぼせ上がった・・・という状況は本当かも知れないけれど、
36歳の経験豊かな女が少年の心を操るなどごく簡単だったのかも・・・。
本作はあちらの卒業の季節、初夏の明るくのどかな季節が舞台となっていますが、
それとは裏腹に、流れる音楽は緊張感があって不穏な雰囲気。
エリザベスの来訪によって、ただ13歳の時のまま純粋だったジョーの心に、
ふと現在のどこかいびつの家族のあり様の影が宿ったようでもありました。
それで結局エリザベスがどのようにグレイシーを演じたのかも、見てみたかったですね。
いやたぶん、本作でグレイシーを演じたジュリアン・ムーアがその答えなのか・・・?
<WOWOW視聴にて>
「メイ・ディセンバー ゆれる真実」
監督:ドット・ヘインズ
脚本:サミー・バーチ
出演:ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーア、チャールズ・メルトン
年の差婚度★★★★☆
いびつ度★★★★★
満足度★★★.5
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