映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

天地明察

2012年09月21日 | 映画(た行)
宇宙に馳せる思いは同じ



                        * * * * * * * * * 

冲方丁さんの原作本が、すごく面白かったので、
やはり見てしまいました。
江戸時代前期、日本独自の暦を作った安井算哲(渋川春海)の物語。


碁打ちとして徳川家に仕える算哲(岡田准一)は、
算術にも星にも人一倍興味がありました。
北極星の高さを測ることでその土地の位置がわかる。
彼は日本中の計測の旅、北極出地の一同に加えられます。
1年以上に渡る大変な旅ですが、
星が好き、算術が好きな一行は存外楽しそうなのです。

そんな中で算哲は、今の暦は800年も前から使われている中国の暦で、
実際には1日~2日ずれが出ていることを知ります。
正しい暦を作りたい。
それが彼のライフワークとなっていくのです。

ストーリーもろもろなどについては、こちらを御覧ください。
→「天地明察」冲方丁




さて、映画作品としては・・・
万人向けエンタテイメントとして、よくできていますね。
本を読んだだけではイメージしづらい部分も、映画なら一目瞭然。
そういうところがやはりいいです。
岡田准一と宮崎あおいの起用も華があるし、
その他のキャストも絢爛豪華。
会津藩主保科正之に松本幸四郎、水戸光圀に中井貴一。
ナレーションは真田広之、音楽は久石譲という念の入れよう。
ちょっとへそ曲がりの私は、あまりにもキラキラしい作品は避ける傾向がありながらも、
見てしまいまして、楽しませてもらいました。
豪華すぎるからといって、避ける必要もない、正当な感動作品。



江戸時代の人々の知識と技術。
決して現代に劣っていませんね。
計算機もコンピューターもなくても、星の軌道を計算で出すことができる、ということですが、
どんな道具があっても私には無理。
恥ずかしいことではあります・・・。



暦をつくり上げることも大変ながら、政治的駆け引きも大変なのです。
朝廷貴族と武士の確執。
彼らのやり取りで、今の大河ドラマ「平清盛」を思い起こしました。
ここには約500年の隔たりがありながら、構図としては同じなんですね・・・・。
貴族たちが自分たちの生活様式をかたくなにも守り通しているのもすごいと思ったりして。
いえ、その伝統は今も宮中に受け継がれているわけで、全く、感服します。

「天地明察」
2012年/日本/141分
監督:滝田洋二郎
原作:冲方丁
出演:岡田准一、宮崎あおい、佐藤隆太、市川猿之助、笹野高史、中井貴一、松本幸四郎


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2 コメント

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真っ当な映画 (こに)
2012-09-26 20:38:00
諸手を挙げて誉めるような出来でもないとは思いますが、鑑賞後はスッキリ良い気分になりました。
どんなことでも一生懸命頑張る姿はよいものです。
今では当たり前の「暦」が当たり前でなかった時代があったのですね~。
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夜空を見上げて (たんぽぽ)
2012-09-26 20:52:10
>こにさま
実際、本で感動したなら、わざわざまた見る必要もないというくらいのものですが・・・。
宇宙に人が飛び立って、月に人が降り立っても、やはり私などは星空に無限のロマンを感じます。きっと、江戸時代でも太古でも、人は同じ思いで星空を眺めていたのでしょうね。
そういう感覚また味わえたので、よかったかな?と思います。
>すっきり良い気分。
ホントですね!
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