映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「フリーター、家を買う。」 有川浩

2012年09月22日 | 本(その他)
目指せ、母が安心して過ごせる新しい住まい!!

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
有川 浩
幻冬舎


                 * * * * * * * * * 

以前から読みたいと思っていた作品ですが、ようやく文庫化となりました。
ただどうしてもこの頃私は、
有川浩作品の、暗くて深い主人公側と相手側の溝=対立構造が
気になってしまって仕方ないのです。
だから今作はじめの方、武(たけ)家とそのご近所の異常な対立関係には
「やっぱり・・・」とちょっとがっかりさせられたのですが、
まあ、そこを我慢すればなかなか読み応えのある作品でした。


せっかくの就職先を3ヶ月で辞めてしまい、
以後自堕落に親のすねをかじり、
時たまのバイトでしのいでいた甘ったれ25歳の誠治。
ところが、母親がご近所とうまく行かず、孤立。
かなり重篤な鬱に陥っていたのです。
誠治はそんなことにも何も気づいていなかった自分を深く恥じ、
一念発起、バイトに精を出し、職探しと母の癒しに奔走。
目指せ、母が安心して過ごせる新しい住まい!!


25歳とは言え、誠治は全く子どもでした。
周りの何も見えていなかったし、就職の意味も何もわかっていなかった。
実はこの武家にも、内部の対立構造がありまして、
“父”VS“母・誠治・姉”。
実際、この父もうんざりするほどいけ好かない人物ですが、
誠治の就職のためには、かなり的確なアドバイスをくれたりします。
さすがダテに長く会社員として勤めているわけではない。
だからこの家庭内対立構造の溝は、ちゃんと埋められるのです。
なあんだ、ちゃんとそういうことも出来るのではないですか。
有川さん。


終盤、誠治がようやく正規の職を得て、
そこでやりがいを見出し頑張っている姿には、胸がすきます。
やっぱり仕事っていいですよね。
今、職につきたくてもつけない多くの若い人達全てに、
このようなやりがいのある仕事を持ってもらいたい!!
おねがいしますよ・・・!
(誰に?)

「フリーター、家を買う。」有川浩 幻冬舎文庫
満足度★★★★☆


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2 コメント

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Unknown (ジュリ)
2012-09-25 15:51:44
ダメダメな誠治でも、就職して家を買うことができた。人間やろうと思えばいつでも立ち直れるんだな、私も頑張ろう、と思いました。
私も文庫本のほうを読んだのですが、文庫本の方が安いし、持ち運びに便利でいいですね。
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文庫化 (たんぽぽ)
2012-09-25 20:38:15
>ジュリさま、コメントありがとうございます。
私は読みたい本も、もっぱら文庫化を待ってから読みます。
本当に、そのほうが経済的ですし、いつも何かの本がバッグに入っていないと落ち着かないので。
いっそはじめから文庫で出して欲しいくらいです。
これからは電子書籍という手もありますけどね。
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