映画と本の『たんぽぽ館』

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約束の宇宙(そら)

2022年02月14日 | 映画(や行)

仕事を持つ女性としての立場、母としての立場

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欧州宇宙機関(ESA)で日々訓練に励むフランス人宇宙飛行士、サラ(エバ・グリーン)。

物理学者の夫とは離婚し、7歳の娘ステラと2人で暮らしています。
そしていよいよ、かつてからの夢であった
Proxima(プロキシマ)と名付けられたミッションのクルーに選ばれます。
しかし、国際宇宙ステーションに約一年滞在することとなり、
娘とは離ればなれになってしまうことになります。
まずは、訓練に参加するため打ち上げの2か月ほど前から、サラは娘と離れなければなりません。
過酷な訓練の合間、サラはステラと
「打ち上げ前に一緒にロケットを見る」という約束を交わしますが・・・。

本作は、自分の夢や職務を果たそうとする1人の人間としての立場と、
女で母親という立場の両立の難しさを描いています。

娘ステラは、しばらく父親と共に暮らすことになるのですが、
そのために転校をします。
母と別れ、おまけに見知らぬところで新しい生活を始める。
子供にとってはこれはかなりのストレスに違いありません。

しかしこのとき、同時に母・サラも同じ思いを味わっているのです。
訓練の場では同じチームの男性2人と組むことになります。
しかし初対面の彼らは、組むのが女性であることに不満を感じている様子。
内心「女なんか、頼りにならない」と思っているのがよく分かります。
慣れない環境で、見知らぬ人々とうまくやっていかなければならないストレスは娘と同じ。
電話で話す母子は双方泣きそう・・・。

訓練の合間にも娘を案じ、なかなか気が休まることのないサラ。
これが男性なら、まあ、普通は自分の仕事のことだけ考えていればいいですよね。
でもいくら昨今、男女の役割が平等になってきているとは言っても
「母」としての立場は、父親に丸投げできるモノではないのでしょう。
そこが実際辛いところ。

けれど、母親の心配をよそに、子供は実はたくましい力を秘めているモノ。
ほんの1・2か月離れている間に、
算数が得意になり、自転車に乗れるようになり、ボーイフレンドまでできたらしい・・・。
母も負けていられませんね。

・・・という風に、本作はロケットが打ち上げられたところでまでを描写するのみで、
宇宙で実際に活躍する母の姿はナシです。
母と子、それぞれの成長を描くという
そういうテーマなので、ここはそれで良しですね。

ところで、サラの最後の行動なのですが、
コロナ禍の今、それは絶対にしちゃいけないヤツのような気がします。
タブーです。
それがすごく気になってしまって、感動も半減。

<WOWOW視聴にて>

「約束の宇宙(そら)」

2019年/フランス/107分

監督:アリス・ウィンクール

脚本:アリス・ウィンクール、ジャン=ステファヌ・ブロン

出演:エバ・グリーン、ビリー・ブーラン=レメル、マット・ディロン、サンドラ・フラー

 

シングルマザー奮闘度★★★★★

満足度★★★☆☆



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