映画と本の『たんぽぽ館』

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永遠の831

2022年02月15日 | 映画(あ行)

永遠の夏休みはアリ?

* * * * * * * * * * * *

WOWOW開局30周年として放送された、神山健治監督によるオリジナル長編アニメ。

 

「未曾有の大災厄」により世界中が混迷を極める時代。
東京で新聞奨学生として暮らすスズシロウ。
彼は高3の時に起こったある事件をきっかけに、
自分の意志とは無関係に時間を止めることができるようになります。
そのスイッチは「怒り」で、その時間停止がどのくらいの間続くのかも、
今のところコントロール不能。

そんな彼が、ある日、同じく時間を止めることができる少女・なずなと出会います。
しかし彼女のその力は、異母兄・芹によって犯罪に利用されているのです。
スズシロウは、なずなに手を差し伸べようとしますが・・・。

表題の数字、831はすなわち8月31日を表わしています。
夏休みの最後の日、永遠に続く夏休みを意味しているのですが・・・。

夏休みが永遠に続くなら「ラッキー」と私なら思ってしまいますが、
本作では社会や人々のそうした怠慢や、
新しいシステムに乗り出していく気概のなさを問題としているようです。
なずなの兄・芹は、こんな相変わらず資本家ばかりが優遇される世の中を
変えたいと思い、テロまがいの行為に出るわけですが・・・。

一方スズシロウは、自分のとった行動で自殺者を出すという重い過去があり、
そのため故郷を逃げ出して東京にいる。

どうもこの辺のスズシロウの心理と、芹の心理がうまく重ならず、
結局よく分からないストーリー運びだと感じました。

そしてまた、本作のアニメーションですが、
人物の動きはおそらくモーションキャプチャーを利用していると思われます。
だから人物の動きが確かにリアルではあります。
でも、例えば2人の会話シーン。
話をしている人物が動くのは分かる。
でも聞き手の方も絶えずほんの少し揺らいでいるのです。
それはリアルなのかも知れないけれど、妙に視線がそっちに行ってしまって、
しかもなんだかその揺らぎがキモチワルイ。
どうも必要のない動きに思えてしまう。
時間が止まったときの完全静止状態と区別をつけたかったのかも知れませんが・・・。

なんだか、私にはピンとこない一作でした・・・。

<WOWOW視聴にて>

「永遠の831」

2022年/日本

監督・脚本:神山健治

出演(声):斉藤壮馬、M・A・O、興津和幸、日笠陽子

満足度★★.5

 



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