映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

わたくしどもは。

2024年06月12日 | 映画(わ行)

静かで波風のないこの場所は・・・?

* * * * * * * * * * * *

佐渡島の金山跡地で目を覚ました女(小松菜奈)は、過去の記憶がありません。

清掃員のキイ(大竹しのぶ)に助けられ、キイの家に連れて行かれます。
そこではキイが、アカとクロという女の子と一緒に暮らしています。
そして自分の名前も分らない女はミドリと名付けられ、
キイと一緒に清掃員として働き始めます。

またミドリは、警備員の男・アオ(松田龍平)と出会います。
彼も過去の記憶がありません。
2人は次第に惹かれ合っていきますが・・・

佐渡島の静かで美しい場所に、時が止まったような日々が流れます。

人々は皆ほとんど無表情で感情の起伏が乏しい。

冒頭で、小松菜奈、松田龍平演じる男女が
「この世では私たちは二度と交わることはない」とつぶやき、
飛び降りるシーンがありまして、
この2人が記憶を失って目覚めた場所は、すなわち「この世」ではないことが分ります。
それなので、まあネタばらしになってしまうけれど、
つまりここに暮らす人々は皆、さまよえる魂であるらしい。

けれど、意外とそうした寂寥感のようなものはなくて、
ひたすら静かで平和なのです。

過ぎた過去の苦しい思いはもうなく、淡々と流れていく時間を過ごすだけ。
しかもただ無為に時間が過ぎるのではなく、清掃という役割もある。
そして孤独ではない。

死後の世界がこんなにも穏やかなものならば悪くない気がします。
・・・というか、そうであってほしいという願望なのかな?

正直、ちょっと眠くなってしまったのですが、雰囲気のある作品。
夢見心地で見るのにピッタリ。

<シアターキノにて>

「わたくしどもは。」

監督・脚本:富名哲也

出演:小松菜奈、松田龍平、石橋静河、田中泯、大竹しのぶ、内田也哉子

 

世俗離れ度★★★★☆

満足度★★★☆☆



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