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「短歌と俳句の五十番勝負」穂村弘 堀本裕樹

2022年08月07日 | 本(その他)

こんな「お題」もアリなのか

 

 

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荒木経惟、北村薫、谷川俊太郎、壇蜜、又吉直樹、中江有里、柳家喬太郎……。
作家、詩人はもちろん、写真家、女優、タレント、落語家、芸人から、
出版社社長、編集者、書店員、運送業者、牧師、大学生、小学生まで。
様々な職業の五十人から寄せられたお題で、歌人の穂村弘と俳人の堀本裕樹が真っ向勝負!
気鋭の二人は多彩なお題をどう詠むか。
それぞれの短歌と俳句を自由に読み解く愉しみを綴るエッセイを各編に収録。

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様々な人から寄せられたお題で、
歌人の穂村弘さんと俳人の堀本裕樹さんが対決、と言う本です。

私、これは俳句の方がすごく不利だと思ったのですよね。
お題の他に季語も読み込まなくてはならない。
17文字という制限は、お題についての「物語」を説明するのに
あまりにも少ないのではないか・・・。

しかるに、さすがプロ。
まあ対決とは言え、甲乙つけるべきようなものでもないと思うのですが、
短歌と俳句の特性を生かして、どれもステキなのでした。

 

そもそもここに寄せられた「お題」は、
通常短歌や俳句で連想するような語句とは
ちょっとイメージが重ならないようなものが多いのです。
というのも、このお題を寄せた人々というのが、
一般の方もいらっしゃいますが、著名なタレントやら作家やら詩人やら・・・。
まるで「どうだ、これでできるかい?」と挑戦状をたたきつけるような感じなのです。

 

例えば、「唾(つば)」。
これを出題したのは又吉直樹さん。

 

それに対して、穂村弘さんは

文字に唾たらしてこするなんとなくこれでも消えるような気がして

 

一方堀本裕樹さんは

青き踏む唾棄すべきことこなごなに

 

 

ノートに書いた鉛筆の文字。
消しゴムが見当たらなくて、唾をつけてちょっとこすってみたりして・・・って、
なんか私も子どもの頃やってみたことがあるような気がします。
さすがに今はやりません。
今時の子どももやらないかもですが。
穂村さんらしいユーモアにあふれています。

 

一方、「青き踏む」は春の季語ですね。
新芽の出てきた心地よい野山を散歩すると、
ちょっとわだかまっていたイヤな思いも霧散していくようだ・・・。
う~ん、さわやか。

 

こんなふうに、同じお題から双方全く別の発想で、それぞれの個性的世界が広がっていきます。
面白いですねえ・・・、短歌。俳句。

 

豪華、出題者陣とそのお題は・・・

「挿入」荒木経惟

「ゆとり」朝井りょう

「ぴたぴた」谷川俊太郎

「部長」長嶋有

「舞台」柳家喬太郎」

「安普請」壇蜜

などなど・・・。

関連があるようなないような・・・というのも、面白い所です。

 

「短歌と俳句の五十番勝負」穂村弘 堀本裕樹

満足度★★★★☆

 



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