鉄の女
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有能な法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)。
判断力の衰えた高齢者を法制度において守り、ケアします。
多くの顧客を抱え、裁判所の信頼も厚いのです。
・・・というのは表向き。
実は彼女は医師や介護施設と結託し、
高齢者の資産をかすめ取る悪徳後見人なのです。
ある時、新たに資産家の老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)に狙いを定めたことから、
歯車が狂い始めます。
ジェニファーは孤独な老女のはずが、裏にロシアンマフィアの存在があったのです・・・。
何しろ、このポスターのキャッチフレーズを見てください。
「100%共感不能! なのに爽快!」
いや、爽快かどうかは疑問ですが、妙に魅入られてしまう感じはあります。
マーラはまず狙った老人の主治医から、
自立できないので保護が必要と言う趣旨の診断を得ます。
実は、その老人は元気で判断力もバッチリであったとしても。
そこで裁判所からこの老人の法定後見人のお墨付きをもらい、
強引に老人を施設に入れてしまうのです。
施設では面会謝絶、外出禁止として、ほとんど囚人状態にします。
脱走したり暴れたりする場合には、薬を使って意識をぼんやりさせてしまう。
そしてマーラは施設の入所費用のためとして老人の土地・家などを処分。
手数料をバッチリ稼ぐ、と言った次第。
医師にも施設にも見返りが行くようにして結託しているのです。
もしこの老人に家族がいたとしても、
「しばしば家族は遺産目当てに施設にも入れず介護もしないで老人を見殺しにする」
・・・などと言って裁判所を味方につけ、
家族を老人と面会さえできないようにしてしまう。
う~む、なんと恐ろしいシステムではありませんか。
なんの罪悪感も持たずに平然と「仕事」として事を進めてしまう、
この恐ろしき鉄の女、マーラ。
ロザムンド・パイクはすっかりこうした悪女役が身についてしまったようです。
本作は、このジェニファーが実はロシアンマフィア、
ローマン(ピーター・ディンクレイジ)の母であり、
突然施設に入れられて会うこともできなくってしまったことに怒り、
猛然とマーラに攻撃を仕掛けてくるのです。
まさしく命がけ。
しかし脅されようがなんだろうが、ひるむ様子のないマーラ。
強くてカッコイイ、と言いたいけど、
私はやっぱり好きにはなれませんけどね・・・。
ここまでの鉄面皮になった彼女の過去にいったい何があったのか・・・?
私はそれが知りたい気がします。
<WOWOW視聴にて>
「パーフェクト・ケア」
2020年/アメリカ/118分
監督・脚本:J・ブレイクソン
出演:ロザムンド・パイク、ピーター・ディンクレイジ、エイザ・ゴンザレス、ダイアン・ウィースト
悪女度★★★★★
空恐ろしさ★★★★☆
満足度★★★☆☆
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