音楽を楽しむのに出自は関係ない
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実話を基にしています。
パリ郊外の音楽院でビオラを学ぶザイア。
パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入を認められ、そこで指揮者を目指すことになります。
女性指揮者は世界でわずか6%という困難な道のり。
おまけに、クラスに同じく指揮者志望のエリート、ジベールもいます。
ジベールはザイアを移民の子でしかも女のくせに・・・と見下して、
それに同調する者たちと共に、ザイアの指揮の練習をバカにしたり妨害したり・・・。
そんなある時ザイアは、特別授業に来た世界的指揮者、セルジュ・チェリビダッケに気に入られ、
指導を受けるようになり、道がわずかに開き始めます。
パリの名門音楽院、というのがクセモノなのです。
多くはお金持ちの子息・令嬢。
クラシックは富裕層のもの・・・というような
鼻持ちならない特権階級意識で固まっています。
もちろん、そうでない人たちもいますが。
彼らにとっては、移民でしかも田舎町の音楽学校に通っていた子なんて、
ゴミみたいに思っているのです。
ザイアの家は、確かにお金持ちではないけれど、
ご両親はとても音楽が好きのようです。
だからザイアとその双子の妹フェットゥマに音楽を習わせた。
でも決して強要ではなくて、好きならどうぞ、という感じ。
ちなみに弟は音楽ではなくて、水泳に夢中。
そんな普通に愛情深い家族で、でも裕福ではないので、アパート住まい。
近所から騒音の苦情が来るので、
ファットゥマは家ではチェロの練習が思うようにできないでいます。
そして、ザイアは思い立つのです。
自分のオーケストラを持ちたい、と。
庶民の子、エリート校の子、どちらでもOK。
音楽教室の子も入れたりして・・・。
階級も出自も様々、これぞ多様性、今のオーケストラ。
ザイアが、身の回りの音からリズムを拾い上げていくシーンがステキでした。
そしてまたラストシーンが、素晴らしいんですよ。
分る分らないとか、好き嫌いを越えて、心を揺さぶる「音楽」というもの。
その神髄を見たような気がします。
感動!!
<シアターキノにて>
「パリのちいさなオーケストラ」
2022年/フランス/114分
監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンション=シャール
出演:ウーラヤ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ
音楽の素晴らしさ★★★★★
多様性★★★★☆
満足度★★★★☆
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