映画と本の『たんぽぽ館』

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友罪

2018年06月05日 | 映画(や行)

殺人を犯したものは、幸せになってはいけないのか・・・

* * * * * * * * * *


ジャーナリストの道に挫折し、町工場で働き始めた益田(生田斗真)。
彼と同時に働き始めた鈴木(瑛太)は、無口で影があります。
それでも二人は少しずつ打ち解けてゆきます。
しかしある時、益田は鈴木が17年前の連続児童殺人事件の犯人、
すなわち、もと“少年A”であることを知ってしまうのです。
法的な罰則はもう終えているとはいえ、
得体の知れない殺人犯とこれまで同様に付き合うことができるのか・・・。
物語はさらにまた、このような殺人犯やその家族は人並みに幸せな生活をすることは許されないのかと、
重い問いを私達に突きつけてゆきます。

実は益田自身も、過去の罪を抱え込んでいました。
彼が直接的に人を傷つけたわけではないにせよ、
ある友人の死に彼は責任を感じている・・・。
そんな彼だから、殺人犯として鈴木を忌み嫌うというよりも、
周囲から受け入れられない鈴木に対してどうにかしてやりたい、助けたい
という気持ちのほうが強くなっていくわけですね。



殺人を犯したものが、幸福になってはいけないのだろうか・・・。
ずいぶん理不尽なことのように思えます。
たとえ自分の罪をみとめ、被害者を悼む気持ち、被害者の家族に申し訳ないという気持ちが大きくとも、
生きている限り四六時中沈んだ気持ちではいられませんよね。
本作の鈴木(実名は青柳)も、あれほど笑顔を忘れたようでいて、
同僚と出かけたカラオケでかろうじて知っていたアニメソングを歌い、
ほんの少し笑みを浮かべます。
でも、たったそれだけのことで、世間から非道扱いされてしまうのです。

また、交通事故で人を死なせてしまった息子を持つ父(佐藤浩市)は、
被害者家族の気持ちを慮るあまり、自分の家族を解体し、
息子の結婚も子供を持つことも認めない。

本当に難しいなあ・・・。
殺人犯やその家族の生き方。周囲の人々の接し方・・・。
考えさせられます。



ところで、青柳は実際しっかりと更生したように思えるのです。
それというのも、彼の少年院時代の教官・白石が、しっかりと彼と向き合って指導したためと見受けられる。
しかしその白石は職務熱心なあまり、自分自身の娘に目が届かなかったという・・・。
世の中、なかなか一筋縄には行きませんね。

瑛太さんの得体の知れない感じ、うまいなあ・・・。


<シネマフロンティアにて>
「友罪」
2018年/日本/129分
監督・脚本:瀬々敬久
原作:薬丸岳
出演:生田斗真、瑛太、佐藤浩市、夏帆、山本美月
問題提起度★★★★★
満足度★★★★☆

 



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