映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

生きる LIVING

2023年04月04日 | 映画(あ行)

生きることの意味を問う

* * * * * * * * * * * *

黒澤明監督作品「生きる」を、カズオ・イシグロの脚本により、
イギリスでリメイクしたものです。

本家「生きる」は有名な名作ですが、例によって、私は見ていません・・・。
この年で映画好きなどと言えば往年の名作、
特に黒沢作品ならすべて何度も見ているはず、などと思われがちですが、
全く見ていませんので、あしからず。
(威張ることじゃない)

舞台は1953年のロンドン、ということで、原作とはほぼ同時代。
冒頭シーンの画質や映し出される街の光景が、
まさしくそういう時代を感じさせるのが、すごいです。

 

これまで仕事一筋に生きて来た役所勤めのウィリアムズ(ビル・ナイ)。
ところがガンに冒されていることが分かり、余命宣告を受けてしまいます。
彼は、ヤケになって仕事を放棄し、
酒を飲んでバカ騒ぎをしたりしますが、満たされません。

そんな時にかつての部下、マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)と再会します。
若くて快活、エネルギーに満ちた彼女。
茶目っ気のあるマーガレットは、実は密かにウィリアムズに
「ゾンビ」というあだ名をつけていたと白状するのです。

つまりは、まるで「生きる屍」のような・・・?
それで、ウィリアムズは思うのです。
これまで自分は本当に生きていたのだろうか?
せめて残り少ない命を、本当に生きてみようと思うわけですね。

そしてサボり続けていた職場に戻り、
これまでたらい回しの末放置されていた案件を実現させようと、動き始める。
その熱意は周囲の人をも巻き込むほど。

生きることの意味に真っ正面から立ち向かう感動の物語。
原作を見ていないので、どこが同じでどこが違うのか、
比較できないのはちょっと残念ではあります。
順不同ではありますが、やはり原作をみるべきか。

でも、お役所仕事の有様はどこの国でも同じだなあ・・・と思ってしまいました。
それと、クレーンゲームがこんな時代からあったとは・・・!

 

<シネマフロンティアにて>

「生きる LIVING」

2022年/イギリス/103分

監督:オリバー・ハーマナス

出演:ビル・ナイ、エイミー・ルー・ウッド、アレックス・シャープ、トム・バーク

 

生きることの意味を探る度★★★★☆

お役所仕事度★★★★★

時代表現度★★★★★

満足度★★★★★



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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (zooey)
2023-04-06 20:04:58
はじめまして。
私は黒澤作品も観ましたが、遥か昔のことで詳細は憶えていないのです。
でも大筋だけでも、かなり忠実に再現していたと思います。
ただ、本作でウイリアムズは何故息子に言わなかったのか、ちょっと引っ掛かりました。
息子も悲しむって分かっていたでしょうにねえ?
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