アニメの可能性はどこまでも
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漫画家・大橋裕之さんの「音楽と漫画」をアニメ化したものです。
実写の動きをトレースする「ロトスコープ」という手法で
7年をかけて映像化したとのこと。
さてそれにしても、素っ気ない「音楽」という題名。
そして恐そうな無表情のオニーサンたちのポスター
・・・ということであまりそそられず、見るつもりはなかったのです。
でも先日WOWOWの「映画工房」で
斎藤工さんと板谷由夏さんがオススメしていたので、拝見。
いや~。
百聞は一見にしかず。
先入観に囚われず、見てみるものです。
楽器も触ったことがない不良高校生3人が、思いつきでバンドをスタートさせます。
研二は、ベースとギターの区別もつかなかったし、
コードなんて知る由もありません。
しかし同じ高校のフォークソング部・森田は、
なぜか彼らの演奏に原始的な息吹を感じ取り、
次の町内野外フェスに出ないかと誘います。
物怖じしない彼らは一も二もなく出場することにしますが、
肝心の研二は「飽きた」といって、練習にも出てこなくなり・・・。
そしていよいよフェス当日・・・。
一見地味で気弱な森田くんが、研二たちの演奏に「ガ~ン」と打たれ、
新たな世界を見つけたような映像が素晴らしかった。
気に入りました。
そしてまた、フェスの日には金髪で現れた森田くんの確かな音楽力。
すっかり私は彼のファンになりましたですよ。
そしていよいよ研二たち「古武道」の演奏シーンは、
なるほど、ここでこそ「ロトスコープ」の威力爆発。
シビれます。
もっとずーっと見て聞いていたかった・・・。
登場人物たちは皆無表情で一見魅力はありませんが、
だからこそ、アニメの表現力が引き立つのだと思います。
うんとかわいかったり凜々しかったり、リアルだったり・・・
そういう方向を極めるのもアニメの魅力ではありますが、
こんな風に単純化しつつも、より心を動かすという方向性も忘れてはいけませんね。
だまされたと思って、皆さんもぜひ見てみてください。
<WOWOW視聴にて>
「音楽」
2019年/日本/71分
監督・脚本:岩井澤健治
原作:大橋裕之
声:坂本慎太郎、前野朋哉、芹澤興人、駒井蓮、平岩紙、竹中直人
音楽性★★★★☆
満足度★★★★★
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