映画と本の『たんぽぽ館』

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私は確信する

2021年12月22日 | 映画(わ行)

思い込みの危うさ

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2000年、フランスで実際に起こった未解決事件
「ヴィギエ事件」を題材とした裁判サスペンスです。

スザンヌ・ヴィギエが3人の子どもたちを残して姿を消しました。
数々の証言や疑惑から、大学教授の夫・ジャックが妻殺害の容疑者となります。
ジャックの無罪を確信するシングルマザーのノラは、
敏腕弁護士のデュポン=モレッティに弁護を依頼。
自らもアシスタントとなって調査を進めます。
そんな中、別の人物の疑惑が浮かび上がり、
ノラはその人物が真犯人と思うようになりますが・・・。

ヴィギエ夫妻の仲は冷え切っており、
スザンヌにはほとんど公認の恋人・デュランテがいました。
またジャックはヒッチコックの映画が好きで、
学生たちへの講義で「完全犯罪は可能だ」と言っていたこともあったのです。
そんなことから、ジャックに“真犯人フラグ”が立ってしまったわけです。
マスコミや世間からすっかり妻殺害の犯人扱いされてしまったジャック。

でも一番大事なことは、そもそも妻の遺体が発見されたわけでもない。
ジャックの犯行を裏付ける証拠も何一つない。
そんななかで、殺人罪を疑われるということがあり得るなんて・・・。
全く馬鹿げた話です。

まさに、いまやっているTVドラマによく似ていますね。
でもさすがにドラマ中では、世間のウワサだけで夫を逮捕したりはしない。
そこが救いです。

さて一方ノラは、デュランテの通話記録のテープ起こしを続けていたのですが、
デュランテが関係者たちに、ジャックの犯行を疑わせるような証言をするよう
誘導していることに気がつくのです。
そのためデュランテこそが真犯人と確信し、
息子のことも仕事も放りだして、狂ったように調査をし続ける・・・。
これこそが「正義」という思いで彼女は突き進んでいるわけですが、
デュランテが犯人ということの証拠も、もちろんないのです。

どちらにしても、思い込みだけで行動することの危うさ、
それを表わしているところがいいですね。
実話に基づきながらも、このノラというキャラクターは創作だそうです。
映画の作り手の思いが浮かび上がるよい設定でした。

 

結局、回りの思惑に振り回されず、ただ事実だけを見つめた弁護士の言葉が、
陪審員たちの心を落ち着けたように思います。

とても力のある作品です。

 

<WOWOW視聴にて>

「私は確信する」

2018年/フランス・ベルギー/110分

監督:アントワーヌ・ランボー

出演:マリナ・フィオス、オリビエ・グルメ、ローラン・リュカ、フィリップ・ウシャン

 

思い込みの危うさ★★★★★

満足度★★★★☆



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