映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ステップ

2021年04月28日 | 映画(さ行)

シングルファザー

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結婚3年目、30歳。
一人娘・美紀は1歳半。
こんな時に突然妻・朋子に先立たれてしまった健一(山田孝之)。
妻の父母に美紀を引き取ろうかとも言われたのですが、
妻の気配の色濃いこの家で、新しい2人の生活を始めようと決意します。
美紀の保育園から小学校卒業までの10年間、
様々な壁にぶつかりながら、父と娘はゆっくりと歩みを進めていきます。

一歳半の娘を残して妻が亡くなり、男手一つで子どもを育てる・・・、
この設定だけで私は泣きそうになります。

シングルマザーの子育ての苦労話はよくあるけれど、
シングルファザーとなるとますます悲壮感が漂うのは何故でしょう。
できないことではないのですけれど・・・。

でも、母親のいない幼な子は、父親のいない幼な子よりも
不幸そうに見えてしまうのは確かかもしれません。
仕事は早く切り上げて帰ることのできる総務部のフレックスタイムに変えてもらい、
保育園の送り迎えや家事のすべてが健一1人にのしかかります。
仕事にも集中できず育児も自信がない・・・、
気持ちが落ち込んでしまう健一。
う~ん、涙なくして見られない感じ。
こんな健一の気持ちを少しでも楽にしてくれたのは保育園の保母さん(伊藤沙莉)でした。
よかった・・・。



また、そんな健一を気に懸けてくれたのは、妻の実家の両親。
常なら遠慮しあう間柄ですが、次第に実の親子のような関係になっていきます。
やはり、シングルファザーとはいえ、協力してくれる人は必要なわけで。
子どもの成長と共に、親もまた成長していくものですね。

美紀は小学校一年の時に、皆の前で
「お父さんがご飯を作ったり洗濯をしたりします。
お母さんもいます。」
と言ってしまいます。
教師は「ウソ」は良くないと言うのですが、
健一は家の中には常に多くの母親の写真があり、
自分も美紀も、亡き朋子の気配に包まれているような気がする・・・。
だから美紀はウソを言ったわけではないのだ、と思います。
ステキなエピソードでした。

これがシングルマザーの話ならドラマにはならないけれど、
シングルファザーだからドラマになる。
うーん、時代はまだまだ男女平等においつきませんね。

 

<WOWOW視聴にて>

「ステップ」

監督・脚本:飯塚健

原作:重松清

出演:山田孝之、白鳥玉季、田中里念、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子

 

シングルファザー奮闘度★★★★★

満足度★★★★☆

 



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