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「ミステリと言う勿れ 9」田村由美

2022年10月02日 | コミックス

都合良くニブい

 

 

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入れ替わりを続ける双子の姉妹の「見分け」を依頼された整。
しかし彼の気づきが、鳩村家に潜む危険な事実をあぶりだす――!!

双子編完結の第9巻!

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「ミステリと言う勿れ」第9巻。
前巻の「双子の見分け方」を依頼された整くんの続きの話から始まります。
さすが整くんはこの双子の謎をみごと解き明かしてしまう。
これはそういう平和な話かと思えば、なんとその謎を解いた先に危機があったのです。
この子どもたちを守ろうとした亡き母の杞憂が、結局は現実のものとなってしまった・・・。
整くんたちはエンジンもなく朽ち果てた船に乗せられ、
海に出て沖合に置き去りにされてしまうのです・・・。

全く、整くんの行く先に事件あり。

余談ではありますが、終盤、この船と“ガロくん”の船が接近し、
ガロくんは「オレと一緒に行かない?」とまでいうのですが、
整くんは「自分だけ行けないでしょ、子供もいるんだし・・・」などと言う。
「都合よくニブい」とつぶやくガロくん。

いやいや、整くんがガロくんの真意を分かったとしても、きっと一緒に行くとはいいませんでしょ。
整くんはすでに人々の当たり前の社会の中の住人として
居場所ができあがっているところなのですから・・・。

 

さて、この話は解決となりまして、次は誘拐事件の話に入ります。
整くんは、大きな荷物を抱えて必死に辺りを見回している男性を見かけます。
彼は公衆電話のベルが鳴るとそれに出て、次の行き先を指示されているらしい。
これは整くんでなくてもピンときますが、まるで子供を誘拐された親のような・・・。
整くんは心配のあまりこの男性に付き添って何カ所かの公衆電話を探して歩くのですが、
男性はこれが誘拐事件だとは最後まで言わないのです。

そんなことのあった別のところで、誘拐事件が勃発。
誘拐されたのはなんとあの青砥刑事の娘!! 
そしてへの犯人からの指示は、
「娘を返してほしければ、別の子供を誘拐しろ」とのこと。

さあ、どうする?!

苦み走ったいい男、青砥刑事は、
整くんがいつも事件に関わるのをあまり良く思っていなかったのですが、
彼の洞察力には一目置いているのです。
図らずもこのエピソードではこの二人がペアとなって事件を解決していくという、
まことにおいしいストーリー。

 

「ミステリと言う勿れ 9」田村由美 フラワーコミックスα

満足度★★★★★

 



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