映画と本の『たんぽぽ館』

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罪の声

2020年11月02日 | 映画(た行)

運命を狂わされた人々

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実際にあった昭和最大の未解決事件(すなわちグリコ・森永事件)をモチーフにしています。

新聞記者阿久津(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、
30年以上前の事件の真相を求めて取材を始めます。
その事件では犯行グループが脅迫テープに3人の子どもの声を使用しており、
阿久津はその子どもたちは今どうしているのか・・・と、気になるのです。

一方、京都でテーラーを営む曽根(星野源)は、
父の遺品の中にカセットテープを見つけます。
それを再生してみると、幼い頃の自分の声が録音されています。
そしてそれは35年前の事件で、
犯行グループの脅迫テープの声と同じものであることを知り、愕然とするのです。
それはまだ幼い頃のことなので、彼の記憶にはないことだったのですが、
曽根は彼の叔父が事件に関係しているとにらみ、
彼もまた、35年前の事件のことを調べ始めます。

互いに別方向からのアプローチで同じ事件を調べ始める。
どこかで二人が交差する場面があるはず・・・と、そんなところも興味深く見ました。

会社名などは変えられていますが、まさに、あの事件そのままの状況が語られています。
今さらながら、実に奇々怪々の事件です。
原作者はその謎に真っ正面から挑んでいて、その答えを出しているわけです。

事件とは直接関係のない、ただ利用された立場の「子ども」に焦点を当てて、
事件を追っていくというストーリー運びが、実に私たちの身に迫って感じられました。
阿久津と曽根が協力し合って事件を追っていくことになるのがまたいいのです。
ほんのひととき他愛ない会話を交わす2人の姿にほろりときました。

 

事件に関係があったかもしれない全共闘の戦士たちも、今や老人。
事件当時子どもだった人は立派な中年。
どうしようもない時の流れがまた、切なさを増幅させるような気がします。

欲望であれ、社会への復讐であれ、やってしまったことはもう取り返しがつかない。
そしてただそのことに巻き込まれてしまった人たち・・・。
誰もがそのために人生がすっかり変わってしまった。
圧倒的な力で、こうした様々な人々の「時」を描き出しているのです。

実に見応えがありました!!

そういえば、あの事件以前は、キャラメルなどは紙の箱だけで売られていたんですよね。
セロハンなどをかぶせて売るようになったのはあれ以降のはずです。
今では考えられないようなことですけれど・・・。
一つの事件が大きく社会を変えた一例。

 

<シネマフロンティアにて>

「罪の声」

2020年/日本/142分

監督:土井裕泰

原作:塩田武士

脚本:野木亜紀子

出演:小栗旬、星野源、松重豊、古舘寬治、宇野祥平、宇崎竜童、市川実日子、梶芽衣子

事件発掘度★★★★☆

満足度★★★★★

 



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