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「ソフィーの世界 上・下」ヨースタイン・ゴルデル

2024年04月12日 | 本(その他)

哲学入門

 

 

 

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いま、ふたたび自分の存在を問い直すときがきた

14歳の少女ソフィーのもとに見知らぬ人物から届いた手紙。
そこにはたった1行「あなたはだれ?」とだけ書かれていた……。
本書が発行された1995年、日本では阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が相次いで発生し、
人々は命の価値と自らの存在意義を模索した。
そしていま、未曾有の災害が日本を襲った。
「哲学」は私たちの生きる道を照らすためにある。
世界50か国1500万人超が読んだ名作が、著者の新たなメッセージを加えて再登場!

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本作は1995年に発行された、当時のベストセラーです。
この年、阪神・淡路大震災があったのですが、
私が読んだこの新装版は2011年に発行されたもの。
つまり、東日本大震災のあった年。
・・・ということで何か運命的なものさえ感じてしまいます。
とは言え、ベストセラーではあっても、私、読んだことはありませんでした・・・。

 

この度私が会員となっている、「絵本・児童文学研究センター」の講義のために
読んでおくことが必要となったため、目を通してみた次第。
哲学の入門書といった内容であるために、
私にはちょっとハードルが高かったのですが・・・。

 

著者ヨースタイン・ゴルデンさんは、ノルウェイの方なので、
本作の舞台もノルウェイとなっています。

14歳の少女ソフィーの元に、見知らぬ人物から手紙が届きます。
そこにはたった一行「あなたはだれ?」と記されていた・・・。
これがソフィーと哲学者アルベルトの長い哲学の歴史の旅の始まり。

ソフィーとアルベルトは書簡で、後には実際に対面して、
人類の最大の問い「私たちはどこから来たのか?」や
「私たちはなぜ生きるのか?」に答えようとする
「哲学」の変遷をたどっていきます。

 

ソクラテス、プラトン、アリストテレス・・・、
ちょっと残念な中世を経て、
カント、ヘーゲル、キルケゴール。
実際はもっと多くの人々の考えが紹介されていますが、たくさんすぎて、何が何やら・・・
ちょっとついて行けなくなりました。
でも一般の哲学書の難解さに比べれば、ずっと読みやすく、
もっと真面目に読みさえすれば飲み込みやすいと思います・・・。
(私は読み飛ばしてしまったところが多かったので)。
でもソフィーの飲み込みの良さとl記憶力はすごいです! 
アルベルトの説明をすべて記憶している!

終盤はいよいよ身近なマルクス、ダーウィン、フロイトとなっていくのですが、
私にはここのところが一番興味深かった。
だってこれらの人々の「説」は、単に「説」にとどまらず、
大きく世界を変えていった訳ですから。

 

さて、しかし、ここまでの話は本作の半分しか説明していません。
もう一つ別の大きな筋立てがあるのです。

ソフィアの所には、また別の人物からの手紙が届きます。
それは、「ヒルデ」という自分の娘に宛てた父親らしき人物からの手紙。
なぜかわざわざ、ソフィー気付でヒルデ宛の手紙が送られてくる。
ソフィーがきっと届けてくれるなどという説明を付けた、
不意に不思議な現れ方をするこの手紙。

ソフィーにはヒルデなどという人物に心当たりも何もないのです。
困惑が続きますが・・・。
しかし次第に、「世界」が転回する恐ろしい事実が・・・!

 

うーむ、ちょっと恐いですね。
それはつまり、今現実を生きているつもりの私たちですが、
その世界を丸ごと操っている何者かがいるのかも知れない・・・というような。
哲学の元々の問いに帰って行くのかもしれません。

 

よく分ったとはいいがたいけれど、
とりあえず「読んだ」という達成感はありました・・・。

 

「ソフィーの世界 上・下」ヨースタイン・ゴルデル 須田朗監修 池田香代子訳

満足感★★★☆☆

 



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