映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ポリス・ストーリー レジェンド

2015年07月11日 | 映画(は行)
中国の“闘うお父さん”



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ジャッキー・チェン誕生60年記念、と銘打たれていました。
ジャッキーももう還暦ですか・・・。
とはいえ、実のところ私はジャッキー・チェン作品をさほど見ているわけではありません。
この、ポリス・ストーリーのシリーズも・・・。
けれど本作、全く独立して見るに耐える作品なので、心配いりませんでした。



北京のベテラン刑事ジョン(ジャッキー・チェン)は、
一人娘のミャオ(ジン・ティエン)に会うために、夜のナイトクラブを訪れます。
しかし実はそれはクラブの経営者ウー(リウ・イエ)によって周到に仕組まれた罠。
ジョン親子を含む十数名の客が人質となる籠城事件へと発展します。
これは、ウーが5年前のある事件の復讐のために計画されたことなのでした。



冒頭、こめかみに銃口をあて、今しも引き金を引こうとしている
ジャッキーのシーンから始まります。
一体どうしてこんなことになったのか。
果たして彼は本当に引き金を引くのか。
もう目が離せません。
さすがに還暦のジャッキーにはかつてほどのアクションシーンはありませんが、
でも、娘を守るために闘うお父さん、
リーアム・ニーソン風ではあります。
針金で縛られた椅子からの脱出、
さすが不屈の精神で
不可能をも可能にしてしまう根性のお父さん。
好きですねえ・・・・。



また、この犯人像もどうしてなかなか、魅力的なのであります。
(イケメンだし。)
5年前、彼は妹をある事件で亡くしているのですが、
そのことの真相を知りたいために、関係者をここへ集めたのです。
それはジョンにとっても、
娘に愛想を尽かされたあの、問題の日だったというのがなかなか劇的です。
楽しめました。



ポリス・ストーリー/レジェンド [DVD]
ヘ・ジュン
Happinet(SB)(D)


「ポリス・ストーリー レジェンド」
2013年/中国/108分
監督・脚本:ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン、リウ・イエ、ジン・ティエン、グーリー・ナーザー、リュウ・ハイロン
ジャッキー・チェンの魅力度★★★★☆
満足度★★★.5


「誰がカインを殺したか」 篠田真由美

2015年07月09日 | 本(ミステリ)
京介オジサンと共に・・・

誰がカインを殺したか 桜井京介returns (講談社ノベルス)
篠田 真由美
講談社


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―俺は、カインだったんだ―
深夜、謎めいた電話を受けた少年が貴船山中の廃墟で見出したのは、
ふたりの兄たちの無惨な死体だった。
アベルを殺したのがカインなら、カインを殺したのは誰なのか。
天才建築家・橘霆の胸中に眠る愛の記憶。
あえかなる水琴窟の音色の彼方に桜井京介がたどり着いた情景とは。
旧約聖書に書かれた人類最古の殺人をモチーフに描く表題作(「誰がカインを殺したか」)ほか、
慈しみに溢れた傑作短編4編を収録。


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40代、オジサンの桜井京介シリーズ第2弾。
前巻「さくらゆき」では、
ストーリーそっちのけでオジサン京介評をしてしまいました。
そんな中で登場する庄司ゆきのこと。

「本作で、女はあくまでも脇役。
あまり目立つと返って嫌われますよ・・・。」

などと私は書いて(書いてしまって)いたのですが、
その彼女がやはり本巻にも登場します。
でも少し印象が変わってきた。
まだ中学生の彼女は、全然「女」ではないんですね。
いわばこれは大人になってしまった"蒼"の身代わりか。
生きる上では否応なく他者と関わっていかなくてはならない。
ずっと自分の殻にこもっている方が楽ではあるのだけれど。
でもいろいろな人との関わりの中で、
自分の中に「気づき」があったり、
また、大切な友ができたりもする。
ゆきは、そういう成長途上にあるわけです。
特に本巻ラストの「コックリさんと喫煙と十四歳の研究」は、
なかなか興味深かった。
青少年が時々夢中になってしまうコックリさんのこと。
女友達との厄介な付き合いのこと。
毒を飲む賭けのようなもの。
しなやかに強く、そしてまっすぐに伸びていこうとする彼女が
ちょっぴり眩しい。
悪くない感じです。
桜井京介オジサンと共に見守って行きたくなってきました。


そうそう、本巻には待望の深春氏の子どもたちも登場します。
やっぱりやめられないわ~。


「誰がカインを殺したか」篠田真由美 講談社ノベルス
満足度★★★.5

靴職人と魔法のミシン

2015年07月08日 | 映画(か行)
ニューヨークの下町に息づく歴史



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本作、ファンタジックなお話かと思えば、
まあ、魔法のミシンなのでそういう向きもありますが、
なかなかステキなコメディでもありました。
いや、そうも言っていられないハードボイルドの展開もあるのですが。



ニューヨーク、マンハッタンのロウアー・イーストサイド。
マックス・シムキン(アダム・サンドラー)は、代々続く小さな靴修理店を営んでいます。
年老いた母親と二人暮らし。
毎日が単調でパッとしないと自分では思っている。
そんなある日、仕事で使っている電動ミシンが故障。
そこでやむなく物置の奥で眠っていた先祖伝来の旧式ミシンで靴を修理しました。
ところが、それこそが魔法のミシン。
そのミシンで修理した靴を履くと、
なんとその靴の持ち主そっくりに変身することができるのです!!
マックスはいろいろな人の靴を履いて、未知の人生を楽しんでみます。
なんだか毎日が面白くなってきた。
とうの昔に家を出たきりの父親になりすまし、
お母さんを喜ばせてみたりもするのですが・・・。
やがて、危険な事件にも巻き込まれていく・・・。



ニューヨークはいかにも新しく近代的な街、というイメージですが、
マックスの靴修理店ももう4代目。
いい感じに歴史を感じさせます。
人々の生活が感じられて、なんだかぬくもりのある下町の光景。
でもこの辺りは再開発のために地上げ屋が横行。
古いビルの住人を追い出しにかかる嫌がらせがあったりします。
効率ばかりが優先の新しいビル、新しい町並み。
そうではなくて、これまでニューヨークの片隅に生き続けた古いものも大切にしていきたい・・・、
そうした思いが、この物語のテーマの一つです。



そしてもうひとつは、父と息子。
マックスは家族を捨てて出て行ってしまった父(ダスティン・ホフマン)を憎んでいたのですが、
いない相手には文句も言えません。
だから通常の「父と息子の相克」というのとはちょっと違います。
でもそんな父でも、母は戻ってくるのを心待ちにしていたのですね・・・。
父の靴を履いて、父の姿で母親とゆったりとダンス。
ステキなシーンでした。

でもお隣の床屋のご主人(スティーブ・ブシェミ)が、
何かとマックスを気にかけて、まるでお父さんみたいと思ったのですが・・・!!
このストーリーにはさらなる秘密が隠されていますので、
油断できません!!



それから、本作いろいろな俳優さんたちの腕の見せどころといいますか、
例えばマックスがご近所のイケメンくんの靴をはいてみる。
見事にイケメンに変身したマックスなのですが、
どこか自信なさげで情けない感じ。
いかにも本人でなくて、「変身したマックス」に見えるところがすごいと思いました。
演技の幅が試されますねえ・・・。


「靴職人と魔法のミシン」
2014年/アメリカ/98分
監督:トーマス・マッカーシー
出演:アダム・サンドラー、ダスティン・ホフマン、スティーブ・ブシェミ、メソッド・マン、エレン・バーキン、ダン・スティーブンス

ニューヨークの下町度★★★★★
満足度★★★★☆


日々ロック

2015年07月07日 | 映画(は行)
片手に鯵。片手にロック。



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勉強もスポーツも苦手な、いじめられっ子高校生、日々沼拓郎(野村周平)。
その彼がロックに夢中になりバンドを結成。
上京し、ライブハウス「モンスターGOGO」に住み込みで働きながら
ライブ活動をしています。

でもまあ、ロックが好きなことだけは認めますが、
さほどの才能があるとも思えないのですが・・・。
さて、そんなところにトップアイドルの宇田川咲(二階堂ふみ)が、ふらりと現れ、
拓郎のマイクを奪ってRCサクセションの“雨上がりの夜空に”を熱唱。
実はすごみのあるアイドルと、
おバカだがロック一筋の男。
さあ、どうなる??



バカバカしいほどに強烈なロックが繰り広げられますが、
このエネルギーには圧倒されてしまうのです。
常なら私も敬遠してしまいそうな作品なのですが、
なんだか途中から目が離せなくなってしまいました。
きゃりーぱみゅぱみゅふうのアイドル、二階堂ふみさんが可愛いんですよねー。



それでいて、やはり彼女らしくて、ドスが聞いて凄みがある。
で、結局本作は
「ビョーキの女の子と勤労青年の純愛物語」
だったりするのが、実に意外だったりする!!



なかなかいいんじゃないでしょうか。



それにしても、日々沼、
なぜいつまでも鯵(アジ)を持ってる・・・?! 
いや、そこが面白いんですけど。

日々ロック [DVD]
野村周平,二階堂ふみ,前野朋哉,落合モトキ,毬谷友子
松竹


「日々ロック」
2014年/日本/110分
監督:入江悠
原作:榎屋克優
出演:野村周平、二階堂ふみ、前野朋哉、岡本啓佑、落合モトキ

ロック度★★★☆☆
二階堂ふみの魅力度★★★★☆
満足度★★★★☆

「3652 伊坂幸太郎エッセイ集」伊坂幸太郎

2015年07月05日 | 本(エッセイ)
伊坂氏、小説家の軌跡

3652: 伊坂幸太郎エッセイ集 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社


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エッセイが得意ではありません―。
自らはそう語る伊坂幸太郎がデビュー以来ぽつぽつと発表した106編のエッセイ。
愛する小説、映画、音楽のこと。
これまた苦手なスピーチのこと。
憧れのヒーローのこと。
趣味を語る中にも脈々と流れる伊坂的思考と、
日常を鮮やかに切り取る文体。
15年間の軌跡を辿った、初のエッセイ集。
裏話満載のインタビュー脚注に加え、幻の掌編2編を収録。


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この本は平成22年に、伊坂幸太郎氏小説家デビュー10周年を記念して
出されたものの文庫化です。
表題の「3652」は、うるう年を2回挟んだ10年間の日数ということになります。
この10年間に書かれたエッセイが順番にならべられていて、
伊坂氏の日常も垣間見えて、ファンには嬉しい一冊です。
平成22年以後のエッセイも加えられているので、お得!!


著者は新人賞獲得後もサラリーマンを続けていたそうなのですが、
まだ本が一冊しか世にでていない時に、
仕事を辞めようと思ったそうなのです。
そこで奥様に
「会社を辞めて、小説頑張ってみようかな」
と打ち明けると、
投げやりでも重くもなく、軽やかに
「いいんじゃない?」
とおっしゃったとか。
この奥様の言葉が最高の贈り物だったというので、まさしくこれぞ内助の功。
う~ん、なかなか言えませんよね。
生活のことが気になって。
でもでも、もしここで奥様が反対されていたら、
私達は数々の伊坂幸太郎さんの名作を読めなかったのかもしれない・・・と思えば、
やはり感謝!感謝!です。
多分、奥様自身が伊坂幸太郎ファン一号だったのかな?


この中で、いろいろな本や映画のことが語られているのが嬉しいのですが、
中でも島田荘司作品のこと。
伊坂氏もかなりの島田荘司ファンとお見受けします。
同じファンとして何よりもそれが嬉しい。


また、巻末にボーナストラックとして「定規」というショートショートがあるのですが、
これがどうにも怖い・・・。
背筋がゾゾゾ・・・としてきます。
しかしそれが妙に納得のオチとなるのもおかしくて・・・。
傑作です。


「3652 伊坂幸太郎エッセイ集」伊坂幸太郎 新潮文庫
満足度★★★★☆


イタリアは呼んでいる

2015年07月04日 | 映画(あ行)
雰囲気だけは味わいました



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イタリアの5つ星ホテルや絶景レストランの取材のため、
イタリア縦断の旅をするイギリス中年男性二人組のロード・ムービー。



スティーブ・クーガンとロブ・ブライドンがそのまま、
スティーブとロブという役名で登場します。
二人はひたすらにイタリアを走り、
豪華なホテルに宿泊しワインを飲みイタリアンに舌鼓を打つ。
特に大きな事件が起こるわけでもなし。
ではどこが見どころかといえば、
もちろん、イタリアの絶景と空腹で見たら死にそうな美味しそうなメニューなのですが、
それはあくまでもバックグラウンドミュージックで、
メインは二人の会話。



二人の会話はほとんど映画談義で、
それがモノマネで語られるという・・・。
バカを言ってはしゃぐ無邪気なオジサンたち。
いやいや、これがいいんですよね。
なんというか、若い頃よりも気持ちにゆとりがあって、
浮世を忘れてまさに“旅”です。
こんなオジサンたちと一緒に
こんな旅ができたらさぞかし楽しかろう、と思います。

  

さてしかし、私達日本人がこの二人の会話を楽しもうとするとちょっと厳しい。
アル・パチーノにマーロン・ブランド。
そりゃ知らなくはないですが、
これがそっくりと思えるほどに見込んではいないしなあ・・・。
私には唯一ヒュー・グラントが、「ははあ、なるほど」と思えたくらい。
これを心底楽しめるのは余程の映画通でしょう。
しかし、これを自慢気に「実に面白かった」などという人には
あまり近寄りたくない気がする・・・。



というわけで、まあ、楽しい雰囲気だけは味わいました。
頭蓋骨がびっしり並ぶカタコンベや
火山の噴火で全滅したポンペイの遺跡など、
陰気な気分になりそうな光景も、
この二人にかかるとなんだか楽しく思えてしまうからふしぎ。


「イタリアは呼んでいる」
2014年/イギリス/108分
監督・脚本:マイケル・ウィンターボトム
出演:スティーブ・クーガン、ロブ・ブライドン、ロージー・フェルナー、クレア・キーラン、マルタ・バリオ
イタリア観光度★★★★★
満足度★★★☆☆

オオカミは嘘をつく

2015年07月03日 | 映画(あ行)
嘘つきのオオカミは誰?



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冒頭、あどけない子供たちがかくれんぼをしており、
隠れていた少女がそのまま姿を消してしまいます。
凄惨な少女殺害事件の幕開け。
少女の赤いワンピースと靴は、
“オオカミ”に対して、もちろん赤ずきんちゃんを意識しているわけですね。



暴力刑事ミッキはある男に容疑者として目をつけ、
強引に彼を拘束し乱暴な尋問を開始しますが、上司の命令により釈放。
しかしその直後、誘拐された少女の斬殺死体が発見されるのです。
担当を外されたミッキは密かに単独で容疑者を付け狙いますが、
そこに現れたのは被害者である少女の父親。
彼は容疑者に復讐し、亡き娘の“頭部”の隠し場所を聞き出そうと、
人里離れた地下室付きの山荘を購入していたのです。
刑事をも巻き込んで、悲惨な拷問が開始される・・・。



容疑者は気弱そうな教師で、
どんなにひどい拷問を加えられても自分はやっていないと主張します。
あまりにも悲惨な状況に、見るのもイヤになってきてしまうのですが、
しかし、ストーリーの先が読めず、
一体どのような結末が待ち受けているのか、
正義とは何なのか、
結局ここで言うオオカミとは誰なのか、
そのようなことが気になって見続けてしまいます。



ここに写っている三人が容疑者と刑事と被害者の父。
特別誰もさほど凶悪そうには見えませんよね。
常には普通の人が、時にはこんな風に残酷になるのだという戦慄。
しかし、こんな悲惨な出来事が起こっている中で、
のどかなメロディの携帯の呼び出し音が鳴り響いたり、
ケーキを焼いたり、
家族が訪ねてきたりなどで拷問が中断したりします。
その家族が救いになるのかと思えばそれがまた・・・!!
こんな風に仄見える奇妙なユーモア。
う~ん、侮れません。
しかも本作には驚愕の真相が隠されていて、一筋縄では行きません。



本作の舞台はイスラエルで、
アラブ人は“悪い”という共通認識のようなものがあるらしい。
本作では馬にまたがったアラブ人がふらりと登場するのですが、
この人が一番まともな人物に見えるという皮肉もなかなか効いていました。



恐るべし、イスラエル監督の作品・・・。

オオカミは嘘をつく [DVD]
リオル・アシュケナージ,ツァヒ・グラッド,ロテム・ケイナン,ドヴ・グリックマン,メナシェ・ノイ
アルバトロス


「オオカミは嘘をつく」
2013年/イスラエル/110分
監督・脚本:アハロン・ケシャレス、ナボット・パプシャド
出演:リオル・アシュケナージ、ツァヒ・グラッド、ロテム・ケイナン、ドブ・グリックマン
凄惨度★★★★★
予測不能度★★★★☆
満足度★★★★☆

きみはいい子

2015年07月01日 | 映画(か行)
あなたはダメな人じゃない。私もここにいるよ。



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中脇初枝さんによる原作の短篇集から
3編を合わせて一つの映画にしたものだそうです。
そのため、
まだ子どもたちの心を捉えきれない新米教師・岡野(高良健吾)、
自分が幼いころに受けた暴力のトラウマから、我が子を傷つけてしまう母親・雅美(尾野真千子)、
そして認知症の恐怖を感じている独居老人のあきこ(喜多道枝)
が主な登場人物となる群像劇になっています。
舞台の町の名前は、作中では特には語られていませんが、
ロケ地は我が北海道、坂の町小樽。



我が子を叱りつけ暴力を振るってしまう母親。
教室でおもらしをしてしまった子をあからさまにキモいという子どもたち。
理不尽なことで苦情の電話を教師にかけてくる母親。
序盤は、なかなかしんどい問題が山積みに思えます。



先日、TV番組で呉美保監督のインタビューを拝見したのですが、
「ただ重苦しい作品にはしたくなかった。
何か救いのようなものを感じて欲しい」
というようなことをおっしゃっていました。
その狙いは見事に果たされていまして、
実際、現代社会にあふれていそうな問題ばかりですが、
それでもなんとか私達はやっていける・・・、
そんな気がしてくるのでした。



心が傷ついているのは何も子どもたちばかりではない。
作中、障害を持つ子どもの母親が、
あきこから子どものことを褒められて泣いてしまうシーンがありまして、思わずもらい泣き。
常に気持ちを張り詰めて頑張っていたのだろうなあ・・・。

そんな風につかれたてささくれだった心を癒やすのは、
たった一人でもいい、温かく差し伸ばされた手。
我が子なら無条件にギュッと抱きしめて愛すればいい。
簡単な事なのに、なかなかできない。
特に日本人はハグの習慣が無いですからね。
これは欧米を見習ってもっとやるといいですね。



尾野真千子さん演じる子どもを愛せない母親。
美人のお母さんがこうだと余計怖い感じですね。
一方池脇千鶴さん演じるお母さんは大雑把でがさつそうで・・・。
でも、こういうお母さんの方が子どもは幸せです。
しかし、ただのんきなお母さんではなかった・・・というのが最後にわかりますよ。
どうにも頼りない新米教師の高良健吾さんも、
子どもたちと共に成長していくさまがなかなかいい。
一見の価値ありです。


「きみはいい子」
2015年/日本/121分
監督:呉美保
原作:中脇初枝
出演:高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴、高橋和也、喜多道枝

抱きしめたい、抱きしめられたい度★★★★☆
満足度★★★★★