自分を偽り続けた心の開放方法
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幼い頃父に捨てられた祐太(阿部サダヲ)は、
東京下町善人通りの惣菜屋「デリカの山ちゃん」の店主夫婦に育てられました。
今では店主の後を継ぎ、商店街を盛り上げています。
いつもニコニコと笑い、無類の働き者で、
人に頼まれたことは決して嫌と言わないというお人好しぶり。
ある日、もと店主夫婦の一人娘徹子(竹内結子)がふらりと舞い戻ってきて、
祐太と結婚することになります。
子供の頃からなんとなく気にはなっていた2人なのでしたが、
徹子の方は家を出ていた間に色々あったようで、2人の子供連れ・・・。
さて、祐太には生き別れになっていた弟・祐介(瑛太)がいて、
今は人気お笑い芸人「金城ブラザーズ」の一人として活躍中。
祐太は弟が見つかったことを歓びますが、
弟の方もこれまで惨めな人生を耐え忍んできていて、いまさら兄など要らないと反発を見せます・・・。
そんなころ、祐太はうなだれ疲れ果てて日曜の夜に姿を消し、
月曜の朝、見違えるように元気を取り戻して戻ってくるようになりますが・・・。
つまり祐太は、店のお金を持って姿を消してしまった父の息子であるのに、
この店に置いてもらったこと、それなりにかわいがってももらったことに
必要以上の恩義を感じており、
とにかく周りの皆に好かれたい、認められたい、その一心でここまで来たわけなのです。
どんなに辛い時もこの家では決して泣かない、と心に決めて。
けれど、そんなことばかりではどこかに無理が出る・・・。
彼の心の開放方法とは・・・?
さすがクドカン作品。
たしかに面白い。
けれども・・・なんだかいろいろ詰め込みすぎて焦点がボケてしまったような気もします。
祐太の生き方について、これはもう文句ない。
でも弟のこと――お笑いコンビの相方を兄として慕っていること――とか、
徹子の人生――実はもとはものすごいデブだったのが、見違えるようにスマートになってと現れる。
そして子どもたちの父親の正体!――。
また、祐太が泥棒扱いされ、結局あれだけ尽くした商店街の人々にも信頼されていなかったこととか・・・。
一つ一つは面白いけれども、結果、祐太の秘密の衝撃度が薄れてしまったかも。
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なくもんか 通常版 [DVD] |
阿部サダヲ,瑛太,竹内結子,塚本高史,皆川猿時 | |
バップ |
<WOWOW視聴にて>
「なくもんか」
2009年/日本/134分
監督;水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ、瑛太、竹内結子、塚本高史、片桐はいり
面白さ★★★★☆
満足度★★★☆☆