ウイスキーのない結婚式なんて
* * * * * * * * * *
第二次世界大戦中にスコットランドであった貨物船座礁事件の実話を元にしています。
戦況悪化のあおりでウイスキーの配給が止められたトディー島。
何しろウイスキーの本場でもありまして、島民は皆ウイスキーが大好き。
生活の一部なのです。
それなのに島には一滴のウイスキーもなくなってしまい
人々は次第に無気力になっていきます。
郵便局長ジョセフの長女ペギーと次女カトリーナはそれぞれの彼と結婚を待ちわびているのですが、
周りの人々、特に父親からウイスキーなしの結婚式などありえないと言われてしまいます。
さてそんな頃、輸出用に5万ケースのウイスキーを積んだ
ニューヨーク行きの貨物船が島の近くで座礁。
島民たちは禁制品のウイスキーを“救出”するために立ち上がります!
なんともユーモラスで楽しくて仕方のない作品です。
難破船から荷物を持ち出したら、実際は泥棒です。
でも放っておけばじきに船とともにウイスキーは海の底に沈んでしまいます。
これはもう、運び出さない手はないですよね。
しかしいざ島民皆が船に向かってボートを漕ぎ出そうとした時に、
夜中の12時の鐘が鳴ります。
牧師さんが言う。
「安息日だ!」
この島ではかなり厳密に戒律を守り続けてきていたようです。
日曜の安息日は何もしてはいけないことになっているのです。
仕事も、泥棒も・・・?
誰一人抜け駆けもせず、無駄に一日が過ぎていきます。
でも実はそうのんびりはしていられない。
この島の民兵を率いているワゲット大尉は朴念仁の融通の効かない人で、
ウイスキーを島民が盗むことを極度に警戒しているのです。
この大尉の目を盗みつつ、ウイスキーを運び出したり隠したり、
そういう顛末がとっても面白い。
実のところこのウイスキーは、ここまで信心深い村人たちへ、
神がもたらしたプレゼントなのかもしれませんね。
大尉の奥さんがまたいい味出してるんですよ。
彼女は夫が村人にあまり好かれていないのをわかっているし、
ウイスキーも村人が運び出すに決まっていると思っています。
けれど割と傍観的で、夫が困るのを面白がってみている。
でもばかにするのではなくて、まるでできの悪い子どもを包み込むような包容力。
ナイスだなあ・・・。
ウイスキーがやたらと飲みたくなってしまいました・・・!
でも、エンドロールの一文に驚いた。
「撮影中は一滴のウイスキーも飲んでいません」ですって。
まあ、仕事だから当然か。
でも皆さん気持ちよさそうに飲んでいました・・・。
<シアターキノにて>
「ウイスキーと二人の花嫁」
2016年/イギリス/98分
監督:ギリーズ・マッキノン
出演:グレゴール・フィッシャー、ナオミ・バトリック、エリー・ケンドリック、エディ・イザード
歴史発掘度★★★☆☆
島民の結束度★★★★★
満足度★★★★.5