ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

冷や汗もの!松田甚次郎トークイベント

2014-10-26 09:12:11 | 地域文化
 何を話せって言うの?松田甚次郎?まっ、知っちゃいるけど、以前かの名著『土に叫ぶ』を読んで感動したってくらいのこと。そうそう、この冬、近江正人先生の講演も聴いてたっけ、って程度のこと。なのに、

 新庄市で松田甚次郎を掘り起こして地域作りの支柱にしていこうという若手グループ「新庄の種」プロジェクト(若手ばかりの自主的取り組み素晴らしい!)に招かれてトークイベントにスピーカーとして参加した。声をかけてくれたのは高校演劇での先達で詩人としても著名な近江正人先生で、もう一人のスピーカーを近江先生がつとめる。コーディネーターは尾花沢出身の脚本家・あべ美佳さん。テレビドラマや映画のシナリオを手広く手がけているばりばりの若手シナリオライターだ。

 で、問題は僕、何を話せばいいの?ってこと。近江先生は新庄の出身、甚次郎にはいたって思い入れも深くその分研究も生半可のもんじゃない。彼の人生のすべてが詳細な年表のように頭に入っていらっしゃる。博識だけではない、甚次郎の事績の評価や魅力なども緻密にかつ熱く語っておられる。一方僕は、どうやら僕の生き方が甚次郎に似てるってとからの推挙であったらしい。

 たしかに、本来小作人でもないのに百姓仕事してるし、彼が目指した有機農業心かげているし、食品加工を大切に実践してるし、農民演劇ってわけじゃないけど演劇にも血道を上げている。まあ似ていなくもないか。でも、外観はそれなりでも、中身がまるで違う、当たり前だけど。いちい上げるまでもない、ただ一つ書くとすれば、真摯さまじめさのあるなしってことだ。ちゃらんぽらんで意地汚い僕など甚次郎の足下にも及ばない。比較にゃならんよね。だけど、ある意味そのルーズさこそ甚次郎を今に受け継ぐキーになるんじゃないか、とも思ったんだ。今更、農本主義でもないからね。

 ということで、甚次郎の解説はもっぱら近江先生のお役目、僕はひたすら自分のたどった道や今の暮らしぶりをお話しした。なぜ農業に目覚めたかとかたかはた共生塾の話とか、古くは盛岡時代の”豊かな”たべものを求める会の活動とか。古いよねぇ!ないのか過去の逸話しか!って感じだし、聴衆は、甚次郎となんのつながりあんなや?ってぽかんとしてたかな。

 でも、僕には僕なりの考えがあって、農業を今に生かすには豊かさとか楽しさという視点が欠かせないってことや、「まほろばの里農学校」(たかはた共生塾が開校し多くの高畠移住者を生み出した都市住民を対象にした百姓による農学校)の実践に、甚次郎の心意気が高畠の百姓に引き継がれていたし、なにより都会から新規に地方移住してくる人たちを生かすことが地域活性化の切り札になる、なんてことを今に即して伝えたかったからなんだ。

 でも、果たして伝わったかどうか?なんせ、話しながらも、なに支離滅裂なことしゃべってんだい、って冷や汗たらたら心臓どっきどきだったもの。トークイベントって、司会から突如話題振られるし、時間制限されてるし、相手の発言とのかみ合いも求められるし、いやぁ、拷問のような1時間半だった。参加者の皆さん、主催者の皆さんごめんなさい。

 その夜、反省と羞恥のあまり寝苦しい一晩を過ごしましたってことで勘弁してください。


 


 
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