ステージおきたま

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少子化対策が失敗し続ける理由

2023-08-12 09:31:06 | 本と雑誌
少子化対策をおちょくる台本書こうと思って、手に入れた本。
『「全身〇活」時代』大内裕和+竹信三恵子著、青土社刊。

完全に騙されたっ!このタイトルだ、〇活時代を面白おかしく突っつく内容だと思ったら、なんのなんの、くそが付くくらい真面目に3つの「全身〇活」を論じてた。
そりゃそうだ、竹信さんだぜ、マジ社会に切り込むに決まってんじゃん。
就活と婚活と保活、ふーん。
実態の描写?それもあるけど、ルポじゃないから、そこに至る過程の方にみっちり踏み込んでいる。皆さん必死で追い求める就職、結婚、保育園、この騒動がなぜ生まれて来たか、表層を撫でるんじゃなく、日本の政治、経済、社会の動きを歴史的に追いながら解き明かしていく。
切り開くメスは「世代間断層」だ。
高度経済成長期からバブル期までに暮らしを手にした親たち世代、その後の低成長じり貧時代をもがき苦しむ子供たち世代の断絶、葛藤。これが「〇活」のアクセルになってるって視点できっぱりと仕分けされる。世代間断絶のあちら側とこちら側の意思疎通の不全、これを繰り返し多面的に探っている。
あちら側の親たちは日本型終身雇用制度の元で手に入れた、男は稼ぎ手、女は専業主婦の家族像を当然の有り方として、息子や娘たちに押し付ける。
そんな要求突きつけられたって、こっち側は、景気低迷からの脱出に失敗した、ここ数十年の日本。新自由主義の働き手使い捨ての勢いに押され、雇用は不安定化し、非正規増殖、正規雇用も長時間労働低賃金が当たり前になって、男たちの稼ぎはじり貧、結婚しても女も働かねば食っていけない荒野が広がっている。
責める親世代、反発しつつ戸惑いもがく子ども世代。この行き違いと、それをもたらした日本のバブル崩壊以降の政治の過ちが随所で鋭く指摘されている。
要するに、親も子も無いものねだりに翻弄された30年だったってことだ。
安定した就職など手に入りにくくなっているのにそれを目指す就活の悲惨。専業主婦の座を狙うも標的(年収600万円以上の適齢期男性)は限りなく小さく、婚活に励まざるを得ない女たちの徒労。
すべては、この「世代間断絶」、あっちとこっちの思いの行き違いと、それを根本的に是正することが出来ないでいるこの社会の無為無策さに起因するってことだ。もちろん、それに拍車をかける自助偏重の社会。
すべての過ちは、オイルショック等で好景気が去り、構造的な低成長の時代に突入した時に始まる。
働き過ぎの男たちを職場から解放し、差別的な地位に置かれていた女たちに仕事を融通しつつ、共働きでゆとりを獲得する別の道に進めなかった過ちが、今も至るところに淀みを生んでしまっている。
これでは少子化から抜け出せるわけがない。
男も女も結婚できる収入がないのだから。
保活については、差別され貶められ続けた女たちの真っ当な要求運動として、小さな希望の灯りとして描かれる。
締めは、
「展望のない全身〇活に陥るのではなく、生存権を守るための運動こそが、私たちに強く求められている。」
そうそう、だから、れいわ新選組山本太郎、
「何があっても心配するな。
あなたには国がついている。
あなたが困る前にあなたを支える公助がある。」
具体的な少子化対策としては、
➀最低賃金の引き上げ
②住まいの保証
③教育の無償化
って、
ほらね、れいわ新選組の公約そのまんまだ。
10年前に出された本だけど、現在のどん詰まりを見事に提示しているぜ。




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