以前『壁20XX』という台本を書いた。原因不明の疫病が蔓延し、都市が封鎖されて周囲に壁を築き、感染者、不良たち、それと年寄りが追放される、という話しだった。
10年以上前の作品だからねぇ、コロナの出現とその時の社会の在り方を、ちょいとばかり見通した、って威張ってもいいかもな?2年前、ヨーロッパ各地、中国ではついこの間までのロックダウン、治療現場の危機的状況、放置される遺体・・・なんか通じるものがあるだろ。
感染元になる重篤の患者と不穏分子、それと高齢者が社会からはじき出されるって想像の世界で、中でも頭にこびりついていたのは姥捨ての幻影だった。見捨てられた年寄りたちは、バブル崩壊で廃墟となったリゾートホテルの建物の中に細々と余命を手繰っている。
そんな、寒々とした光景がいつか現実になるんじゃないか?って暗い予感に押されて書き上げた。
なんと、なんと!現実があっという間に追いついて来ちまったぜ。止まないコロナの猛威、どんどん死んでいく年寄りたち。
昨年暮れから始まった第8波、とうとう1日の死者数が500人を突破してこれまでの最悪記録を更新してしまった。
なのに、世の中、去年までの大騒ぎなんてまるで忘れて知らんぷりだ。今朝やっと、モーニングショーで取り上げていた(でも、死者数380人って間違ってた)が、マスメディア全体、感心が薄れているのははっきりしてる。
もう忘れたいんだよ、コロナなんて流行ってないし、罹ったところで大したことない。それより、暮らしだ、経済だ、ウィズコロナだ、中国からのインバウンドで金落としてもらおうぜ。分類も5類に引き下げて、面倒な隔離もとり止め、息苦しいマスクも外して、コロナなんて戦う相手じゃない。
政府、行政がそっとしときゃ、世の中だって右へ倣えだ、同調日本人。
でも、死者数が500人突破!だぜ。
いいの、いいの。97%が60代以上、92%が70代以上、なっ、死ぬのは高齢者ばっか。いずれ近いうちに死ぬ人たちだ、気にするこたぁない。ってえか、死んでもらえば手間暇省ける。福祉も医療も余分な経費が節約できていいばかりじゃん。
そんな”敢えて無視”の風潮が広がっているんだぜ。だから、メディアは扱わない、取り上げない、問題にしない。だいたい、年寄りがいい思いして現役世代から吸い上げてるから、子ども支援にも若者対策にも金が回らない。さっさとこの世から退場してもらいたいもんだ、って、これ、多くの人たちの心にわだかまってる言っちゃならぬ本音だろ。それが、第8波の軽視、無視の理由だぜ。この風向き、この先じわじわと広がり続けるんじゃないか。
で、いつかは大っぴらに声上げる奴が出て来るんだ。
「ご老人、世のため人のため、お命頂戴!」ってね。
いいや、いつかなんて先の話しじゃない。ついに出て来ちまったぜ。
少子高齢化対策の決め手は、ずばり、高齢者の「集団自決」だ、って断言する人間が。エール大学の准教授だってよ。ついに来ちまったか!
さぁて、この先、年寄り、弱者、役に立たない人間は抹消するって社会が広がって行くのか、それとも、誰も見捨てない!命は等しく大切!の原則を打ち立てて行けるのか、時代の分岐点だぜ。
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