子供のころの記憶、どの程度残っているのが普通でしょうか。
僕が初めて聞いた英語は、今から30年以上前の放送事故による偶然のものでした。
日曜日、僕にとってはすばらしい日でした。見ていた順番はよく覚えていないけど、4チャンネルで御幸毛織提供の野球教室、6チャンネルで兼高かおる世界の旅、8チャンネルで宇宙大作戦の放送があったと思います。僕は宇宙大作戦(スタートレック)の大ファンでした。
ある日の放送のこと、画面の中で僕のヒーローが訳のわからないことを話し始めました。傍らにいた母(だったと思う)に、なんだかわからず視線を向けると、
「これは英語というのよ。この人たちは本当は英語で話しているけど、日本の子供にもお話がわかってほしいから、特別にテレビの人が日本語でもお話ししてくれているのよ」
と、答えてくれました。いま考えてみればわかったようなわからないような説明です。
そのあと同じシーンが今度はちゃんと日本語で放送されました。
「(僕のヒーロー、カーク艦長や他の人たち) この人たちの本当の声は違うんだ。。。」
衝撃を覚えた記憶があります。
「ボーンズ、ヤン族はヤンキーで、コム族はコミュニストだよ」
これが日本語で流れた台詞だったと記憶しています。
関東地方での放送日がわかったのが、サントラCDの付属資料によると1970年7月だったとのこと。三つ子の魂百までではありませんが、強烈な印象だったことがわかります。
もっとも養老孟司先生の本によれば、記憶は再構築されるそうですから、放送事故、台詞、吹き替えという技術の認識それぞれが別のエピソードでいつの間にか僕の頭の中で一体化しているのかもしれません。
現在ならばバイリンガル放送が当たり前、外国映画のDVDを買えば、日本語もついてて当たり前。僕のような勘違いは起きないのでしょう。現在の小学生はいつ、どこで英語に出会うのでしょう。
学校? 塾? 放送?