雇用・能力開発機構解体へ 「しごと館」売却か廃止
16日読売オンラインに載っていた記事、17日の政治討論番組によれば、以下のようなことになりつつある。
独立行政法人改革のうち結論が1年間先送りされた「雇用・能力開発機構」(厚生労働省所管)について解体の方向で組織のあり方を抜本的に見直していく方針を固めた。独法改革への福田康夫首相の強い意向によるもの。
開発機構が運営する「私のしごと館」(京都府木津川市、精華町)は9月から2年間の民間委託の後に民間への売却か廃止、「職業能力開発促進センター」など失業者の再就職を支援するための施設は都道府県への移譲で検討していく。
ここまでは、まあ、よしとしよう。でも、以下の部分が気になる。
開発機構の事業のうち、職業訓練指導員を養成するための「職業能力開発総合大学校」(神奈川県相模原市)も民間に同様の施設があることから廃止し、指導員の認定は現在ある厚労省の指導員認定試験に一本化する。
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職業能力開発総合大学校。知らない人が多いと思うが、厚生労働省所管の大学校である。学科説明は同大学校のウェブサイトによれば、おおよそ以下の通りである。
この大学校には、長期課程がある。この課程は、高等学校卒業者等を対象に職業訓練指導員を養成するための4年制の課程で、卒業時、大学評価・学位授与機構から「学士」の学位が授与される。
この大学校には、研究過程がある。研究・開発や専攻別の高度化実習をとおして、理論と実際を実証しながら、先端的な技術・技能を習得する課程。「ものづくりしながら研究・開発したい」という意欲を持った学生を待っている。修了者には、修了時大学教科・学位授与機構から「修士」の学位が授与される。
職業訓練指導員養成のための施設は民間にも同様の施設があるとしても、この工学系大学校(大学院レベルの教育機関)も廃止するつもりのようだ。しかし、これは正しい考え方と言えるのだろうか。「しごと館」憎ければ... 的な発想になってはいないだろうか。
大学校を、独立行政法人化して、学校教育法の定める学校として再発足させるわけではなく、廃止。同大学校は、平成21年度の学生募集に向けて、ふつうの大学と同じくオープンキャンパスなどを実施している。もしも、来年度学生募集をするのであれば、最低でも4年間はその学生の学習権を保証しなければならない。現在の1年生を最後にするにも、3年間は存続の義務が当然ある。これは大学校であれ、大学であれ同じである。施設設備、学費など非常にいい教育機関である。
簡単に廃止云々という言葉を使うのは拙速である。言葉足らずで、どうかと思う。