平成22年度入試の前期募集・後期募集とも、条件を同じくして、英作文が出題された。これについて、考えてみようと思う。
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5.次の条件に従って,あなたの考えや気持ちなどを含めて,まとまった内容の文章を5文以上英文で書きなさい(8点)
【前期募集】
① 「興味のある教科」や「力を入れて取り組んでいる教科」など,「教科」に関する内容とする。
② 次の3語を必ず使用する。必要に応じて適切な形にしてよい。
subject than because
③ ②の3語を使用する順序は問わない。繰り返して使用してもよい。
【後期募集】
① 「将来の夢」や「以前に見た夢」など,「夢」に関する内容とする。
② 次の3語を必ず使用する。必要に応じて適切な形にしてよい。
dream for if
③ ②の3語を使用する順序は問わない。繰り返して使用してもよい。
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評価の観点(県の採点基準)、満点(8点)は前期・後期とも同じである。問題5.の得点、それぞれの試験の解答内容(英文の語数、その他)については、守秘義務があるのでふれない。
…あたりまえだ。
「まとまった内容の文章」を「5文以上英文」で書くことは、県内のいわゆる高偏差値高校を目ざす生徒にとっては、さほど苦ではないかもしれない。苦にしてはいけないタスクかもしれない。しかし、中学3年生すべてがそうではない。これは相当高いハードルだと思う。
受験生は、それぞれの条件を確認。こんなふうに考えたのではないだろうか。あくまでも僕の想像である。
前期
教科・科目がテーマ。科目名で間違えずにかけるのは何か。
thanを使って二つを比較する。
becauseを用いて理由を述べる。
後期
自分の「夢」は何か。かける表現は何があるか。
条件を表すif s+vの構文を使う。
forはどうするか。
ちなみに、模範解答(公開済情報)はこうなっている。(カッコ内は語数。赤字が必須語)
前期(56w)
My favorite subject is English.
I have studied English for three years.
I like Ms. Tanaka's English classes very much because we sometimes sing English songs.
My brother Takashi studied English in Australia for a year, and he speaks English better than me.
I want to go to a foreign country to learn English like him.
後期(62w)
My dream is to become a scientist.
I read a book about a famous scientist when I was very small.
I have been interested in him and his life very much since then.
He did a lot of useful and wonderful things for people in the world.
If I become a scientist like him, I want to work for other people too.
模範解答を見ても、必須語をもれなく使い、「まとまった内容の文章」を「5文以上英文」で書くのは、難しいことがわかる。これを50分の学力検査(最後の問題)できちんとかける英語運用能力は、相当のものである。やはり前期も後期も、どちらも難しいと思う。
あえて前期と後期、どちらが難しいだろうと考えてみた。どちらがより高い英語運用能力が必要だろう。これは、後期だと思う。模範解答の語数比較でもわかることだが、模範解答ですら、前期よりも後期の方が6語も多くなっている。これは前期の模範解答の語数のおおよそ一割増しである。なぜこのようなことになるかというと、必須語の設定が、全部ではないが、原因であると思わざるを得ない。
日頃、勉強・科目ということを意識せざるを得ない受験生にとって、subjectやbecauseの方が、英文に組み込みやすい。書きやすいと思う。いろいろな意味で身近な存在の単語であり、自分なりのストーリーが作れる。後期の必須語である、夢(dream)や、条件節(if s+v,)を使うことの方が、より抽象的思考を必要とする。特に夢は、なかなか難しいのではないか。「夢を見れない時代」なんてことは言わないが、僕はやはり、後期の必須語の設定が厳しいと感じた。この結果、後期募集の問題の方が、より高い英語運用能力が必要(難しい)という結論になった。どうだろうか。
全県のデータはどうなるか。発表されたら、また、ブログに書こうと思う。