午後2時20分、お昼ご飯を食べて、一番眠くなるころだろう。埼玉県・公立高等学校前期募集学力検査では、ここからが英語の試験である。
午後2時20分、開始チャイムが鳴る。その数秒後「放送を聞いて答える問題」が始まる。この問題が終わらなければ、他の問題に手をつけることは、実質的に不可能である。
平成22年度、埼玉県は入試方式を大きく変えた。問題の作成方法も、出題意図もどのように変更になるか、受験科目5教科の担当者は注目していた。数日前、作文問題の難しさについてブログに書いた。リスニングがどのように変更されるか、それとも大きくは変わらないのかも、注目すべき点だと思っていた。どの程度の英文なのか、研究するために、wpmについて調べた。問題を詳細に研究したい旨を管理職に話し、後期募集合格発表後、オリジナルの音源CDの借用許可をいただいた。この土日、設問ごとに聞きなおし、どの程度のスピードなのか計測してみた。
もしもこのブログを見かけた中学校の先生がいらしたら、何かの参考になるかもしれない。埼玉県前期募集の英語試験リスニングでは、受検者に1分間でどの程度の英文を聞き取ることを求めているかの資料・指標になれればと思う。また、僕も含めて、新入生がどの程度の英文を聞き取ることが出来たのか、考えるベースになれればとも思う。もちろん、満点の受検者もそうでない受検者も当然いるのだが。。。
今回は分析1として、前期募集試験の問題を取り上げることにする。
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試験は全部で7問、求められる解答数が11である。
問題1から問題3は、会話を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、ヒントの図表がついている。
問題4と問題5は、それぞれ「ある場面」を説明する英文を聞き、質問に対する答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一で、英文の答えが出ている。
問題6は、ALTのKentとMikaの会話を聞き、三つの質問(日本語で掲出されている)に日本語で答える問題。記述式。
問題7は、Sakiが授業で行ったスピーチを聞き、その内容に対する質問の答えとして最も適切なものを選ぶ問題である。四者択一問題で、英文の答えが出ている。
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使用音源
平成22年度 英語録音CD [前期] 1枚
平成22年度 英語録音CD [後期] 1枚
使用機材
WMP11
計時はWMPによる。ストップウオッチは使っていない。
音源CD構成(前期試験分)
トラック1 音量調整のための放送
試験当日朝に試聴のために用いる。
試験とは関係ない。
トラック2 無音
トラック1をかけたままにしていると、注意される。
間違えて、問題を誤放送させない配慮。
トラック3(0:58)
0:00 「放送を聞いて答える問題」のアナウンス。
0:32 問題1から問題3の解答方法を説明。
トラック4(1:02) 問題1
0:00 問題1から問題3の解答方法の説明
0:23 問題1放送1回目
0:32 問題1放送1回目終了
0:33 問題1Question1回目
0:42 問題1放送2回目
0:51 問題1放送2回目終了
0:52 問題1Question2回目
この問題はAとBの会話である。ハンバーガーショップの定員とお客の会話。9秒で話者2、総語数19語である。
仮にこのペースで会話が続いたとすると、9秒は1分の15%なので、19を0.15で割ればいいことになる。
126wpmとしてみよう。以下この計算方式で行く。
トラック5(0:46) 問題2
0:02 問題2放送1回目
0:12 問題2放送1回目終了
0:14 問題2Question1回目
0:23 問題2放送2回目
0:33 問題2放送2回目終了
0:35 問題2Question2回目
この問題はAとBの会話である。10秒で話者2、総語数27語である。
仮にこのペースで会話が続いたとすると、10秒は1分の16%なので、20を0.16で割ればいいことになる。
125wpm。
トラック6(0:58) 問題3
0:02 問題3放送1回目
0:20 問題3放送1回目終了
0:22 問題3Question1回目
0:29 問題3放送2回目
0:47 問題3放送2回目終了
0:49 問題3Question2回目
この問題はAとBの会話である。AがKenjiにクラスで身長が高いのは誰かを尋ねている。12秒で話者2、総語数37語である。
仮にこのペースで会話が続いたとすると、12秒は1分の20%なので、37を0.2で割ればいいことになる。
185wpm。これは結構早い。
トラック7(1:11) 問題4
0:02 問題4と問題5の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:24 問題4放送1回目
0:36 問題4放送1回目終了
0:38 問題4Question1回目
0:47 問題4放送2回目
0:59 問題4放送2回目終了
1:01 問題1Question2回目
この問題は「ある場面」についての説明文を聞き、それについて解答を求めるものである。12秒で話者1、総語数26語である。
仮にこのペースで発話が続いたとすると、12秒は1分の20%なので、26を0.2で割ればいいことになる。
130wpm。
トラック8(0:46) 問題5
0:02 問題5放送1回目
0:12 問題5放送1回目終了
0:14 問題5Question1回目
0:23 問題5放送2回目
0:33 問題5放送2回目終了
0:35 問題5Question2回目
この問題も問題4と同じパターン。10秒で話者1、総語数28語である。
仮にこのペースで発話が続いたとすると、10秒は1分の16%なので、28を0.16で割ればいいことになる。
175wpm。
トラック9(2:40) 問題6
0:02 問題6の解答方法の説明
0:15 説明終了
0:17 問題6放送1回目
1:18 問題6放送1回目終了
1:26 問題6放送2回目
2:27 問題6放送2回目終了
この問題は最初の方にも書いたとおり、ALTと生徒の会話である。テーマは時間の使い方。61秒で話者2、総語数140語である。
仮にこのペースで会話が続いたとすると、61秒は1分の101%なので、140を1.01で割ればいいことになる。
138wpm。
なお、トラックの長さは2:40だが、録音は2:27で終わっている。最後の問題までの間10秒ちょっと空白になる。
トラック10(4:29) 問題7
0:02 問題7の解答方法の説明
0:22 説明終了
0:24 問題7放送1回目
1:42 問題7放送1回目終了
1:44 Question 1
1:56 Question 2
2:09 Question 3
2:22 問題7放送2回目
3:40 問題7放送2回目終了
3:43 Question 1
3:56 Question 2
4:09 Question 3
この問題はSakiのスピーチ。78秒で話者1、総語数221語である。
仮にこのペースでスピーチが続いたとすると、78秒は1分の130%なので、221を1.3で割ればいいことになる。
170wpm。
なお、トラック10(問題7)の4:20のところで、「放送を聞いて答える問題」の終了が告げられる。午後2時20分の英語試験開始のチャイムから、ここまでが12分40秒前後になる。試験終了まで37,8分。28点の配点は、試験時間から考えて順当なところだろう。
この12分40秒は、テストの他の部分とは違い、自分のペースで解答することが出来にくい問題である。他の問題であれば、自分の考え方、問題の解き方で対応できる。しかし、リスニングテストは、問題が放送で送られてくるわけだから、やはり解答することへの負担は大きいものだと考えるのが順当である。なお、12分40秒のうち、英語を聞かなければならないのは、おおよそその半分。これを長いと見るか、そうでないと見るか意見は分かれることだろう。
今回改めてこまかく計測してみたのだが、一つ思いついたことがある。それは、wpmの公開・周知である。中学生にも中学校の先生方にも、問題(放送スクリプト)は公開されている。でも、実音に関してはたぶん総合教育センターのウェブサイトにも掲出されてはいないだろう。これ、やるべきではないか。大学入試センター試験のように、リスニングテスト問題も実音のものを公開する方が、学習上有益だと思うのだが。どうだろうか。