解散総選挙にむけて、街角のそこここに、次期衆院選立候補予定者(希望者)、現職議員の集会のポスターが掲出されている。やたら目につく。
肩書きに、こんなのをよく見かける。
①弁護士
②日米弁護士
③国際弁護士
この中で、日本国の法律に基づく職業名は、弁護士のみである。
これは弁護士法に基づくもので、弁護士でないものが弁護士を名のったり、表示してはいけない。*1
2つ目の日米弁護士は半分ダメ。アメリカは日本のように国レベルで弁護士を規定する法律(連邦法)が存在しない。〇〇州(の)弁護士という資格はある。日米弁護士を名のっているとしたら、日本の弁護士資格と、アメリカのどこかの州の弁護士資格も持つということであろう。でも、これで日米弁護士は、誇大広告である。
国際弁護士は、国際的に活躍する、国際業務を得意とする日本(または、外国)の弁護士ということか。日本には国際弁護士*2という資格はない。外国法事務弁護士というものはある。いずれにしても、国際弁護士はあくまで通称である。ある意味これも誇大広告である。
②③をインチキとまでは言わない。でも、有権者に対して正直ではないだろう。
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*1
弁護士法
昭和24年6月10日法律第205号
最終改正
平成23年6月24日法律第74号
(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第74条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
「弁護士」という漢字三文字は、これほどうるさく規定されている。日米弁護士、国際弁護士。曖昧である。
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*2
外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法
昭和61年5月23日法律第66号
最終改正
平成15年7月25日法律第128号
第1章 総則
第1条
(目的)
この法律は、外国弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取り扱うことができるみちを開き、かつ、その法律事務の取扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別の措置を講ずることにより、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて、外国における日本法に関する法律事務の取扱いの充実に資することを目的とする。
第3節 外国法事務弁護士の権利及び義務
(外国法事務弁護士の資格の表示)
第45条 外国法事務弁護士は、業務を行うに際しては、外国法事務弁護士の名称を用い、かつ、その名称に原資格国の国名を付加しなければならない。
こんなかな。
↓
ジョン・スミス アメリカ合衆国外国法事務弁護士
たとえ本国で、日本における「弁護士」に相当する資格を持つ人でも、日本国内で「弁護士」は名のれない。
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法律を作る立場をめざすならば、ちゃんとすべきだと思う。