息子からフライト&温泉を計画しているので都合のいい日を、と問い合わせてきました。取りあえず1月下旬と答えておくと、届いたチケットは北海道の温泉旅館「銀婚湯」でした。北海道八雲町にある秘湯です。
下車駅・落部で旅館からの出迎えまで手配してくれて、本人は海外出張へ・・・。二人だけで行く積雪40センチの北海道に不安はつのり、20日前に階段から落ちたばかりの身ゆえ、まずブーツに取り付ける滑り止めを準備しました。
初日の日程は、福岡⇒羽田⇒千歳、 JRのスーパー北斗で南千歳⇒長万部(おしゃまんべ)、 長万部から各駅停車で落部(おとしべ)下車
さすがプレミアムクラスになると空港のラウンジも特別。機内ではこんな朝食も出ました。そういえばずーっと前は普通にサンドウィッチなんかが出ていた気がしますが・・・。
長万部で30分の乗り換え時間があるので、売店で「かなやのかにめし」を注文すると10分くらいでお店から配達してくれる、と息子のおすすめがあったのでその通りにしました。
左手に海岸線、右手に陸地を見ながら1時間のんびり走る1両のみの列車で、乗客は数人。かにめしを食べながら、九州とはまるっきり違う白い世界をゆっくり走ります。とどめ置きたい贅沢な時間と空間でした。下車直前に、上の写真のような滑り止め装具「スノーグラバー」を靴に取り付けました。LとMサイズを旅行用品のお店で買って置きました。
雪かきをしていないところは上左写真みたいに、どこがプラットホームなのかわからないくらいです。こわい、こわい。
右は、落部駅に停車した1両列車。半無人駅で少し雪を掻いてありましたが、凍ってしまってつるつる滑ります。でも準備していた滑り止めの金具ががっちりと雪を掴み効果抜群でした。
旅館の女将さんのお迎えの車で10キロほど山の中に入っていきます。道路は真っ白で私はひやひやでしたが、「雪かき車が毎日数回入るので助かります」と事もなげに運転されているのにはびっくり。そういえばどの車も普通に走っています。右に落部川を見ながら走ると15分もかからないうちに到着。「道」道ですが、信号がないだけに早いです。
温泉旅館「銀婚湯」に到着。名の由来はテレビなどでもよく耳にしましたが、大正14年、熱湯の大量湧出に成功し、ちょうど大正天皇の銀婚の佳日に当たったため命名に至ったとか。「日本秘湯を守る会」会員旅館というだけあって古いもの、自然のものを残そうという強い意志が見られます。
敷地9万坪は、1周1時間程度の散策コースがあるほど広大です。樹齢1000年のイチイの巨木あり、35トンの岩をくりぬいた野天風呂あり、枯れ木を利用したグッズがあちこちに配置されています。
目を細めてそれを語るオーナーの言葉から、旅館への愛情が子供へのそれと同種類のものであるのが感じられました。
まるっきり自然をそのまんま…でなく、注意深く計算して人の手を入れて、それがかえって自然を尊重してるような、そんな感じを受ける建物、敷地、野天風呂です。
スタートの自家製マルメロの食前酒がすべてを語っているように、派手さはないけど丁寧に自然のものだけで作ってあります。
キトビロ卵とじは珍しい味でした。とりすきにつける卵がおいしく、近所の松永農園のものだとか。種類と量が多かったので、焼き物、ごはん、味噌汁、デザートまで箸が回りませんでした。
マイナス〇〇℃の世界と覚悟していたけれど、想像以上に寒くなく、特に館内は温泉熱、灯油、電気を利用したエアコンが効き過ぎてぽかぽかぽか。夜中はスイッチを切るほどでした。もちろん二重窓の効果もかなりありますが。
北海道電力の内部事情もかなりきつそうなのに、こんなに暖かくていいのかしら・・・、とつい主婦の心配が顔を覗かせました。
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