その昔、「太陽にほえろ」や「西部警察」などのテレビのドラマでは最後に「このドラマはフィクションです」というテロップが映し出された。
ドラマの物語と現実がごっちゃになって、見ている視聴者が「七曲り署ってどこにあるの?」と思ってしまうことを防止する措置だったように記憶する。
今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」も同じテロップが必要だと考えるのは私だけだろうか?
NHKの大河ドラマは長年史実に沿った歴史ドラマだという印象を視聴者は持っているに違いない。
でも実際はやっぱり水戸黄門なんかと同じ真偽取り混ぜた創作時代劇で、雰囲気と内容が「重厚」で、演出と脚本が「超真面目」だったのが他のドラマと大きく違っていた。
それでも視聴者は大河ドラマを見て真実の歴史とダブらせて「あの時代の人は.....」なんて語ったりしたものだった。
そういう意味で、
1.歴史考証がメチャクチャで、
2.江戸時代の日本文化も否定して、
3.19世紀半ばの国際情勢も無視をして、
4.幕末史の知識が無かった脚本家を起用した
NHK大河ドラマ「龍馬伝」には「このドラマはフィクションです」というテロップを掲載しなければならないと思うのだ。
もともと「龍馬伝」の放送が始まった当初は「司馬僚の作品に縛られない初めての龍馬物語だ」と結構楽しんでいたのだったが、回を進めていくうちにトンでもドラマだと思えるようになってきた。
そしてついに、
「ほんで、この時代はなんでこんなんやったん?」
という小六の娘の質問にがく然として、これはイカン、と思うようになった。
「これは本当のことやない。作り話で当時の日本はこんな酷い国やなかったんやで」
と口頭で説明してもNHKテレビで放送されるドラマの方がつたない親父の説明よりも真実らしく見えるようで「ふ~ん」と答えるばかり。
で、なにが「龍馬伝」に問題があるかというと「ウソ」と「現代の価値観」が溢れ過ぎ、それを何も知らない「子供が見る」という部分にあるのだと思う。
例えば、
1.食事シーンがホームドラマ
武家なのに坂本家は男女揃って向かい合わせで食事をとる。
2.土佐山内家が残酷
郷士なら上士は何をしても構わない、という表現が「辻斬りは厳罰だった」「武士はむやみやたらに身分の低いものに危害を加えることはできなかった」という江戸時代の姿に反する。
3.明治政府を背負った人たちの表現が軽薄
桂小五郎(木戸孝允)も後藤象二郎もアホ丸出し。どっちも地方の高校生がマクドナルドでバカ話に花を咲かせている雰囲気そのまま。
現代のそれとは一味違う江戸時代のエリートを小馬鹿にしすぎ。
4.殿様が悪者
勧善懲悪系時代劇のように殿様がヤクザの親分のよう。特に山内容堂演じる近藤正臣は「腕に覚えあり」の影足組の支配者のようで不気味。
5.龍馬をベ平連やピースボートみたいな平和主義者に仕立てている
龍馬は海援隊という私設海軍兼貿易商社を設立した歴史上の人物。それを憲法九条を守る会代表みたいなセリフを吐かせているのには、さすがに朝日新聞の放送局版NHKという印象が強い。
6.街が汚い。
東南アジアの某都市を彷彿とさせるような江戸や大阪の街並みは「ヨーロッパ人が見た幕末の日本」を無視した表現。当時の日本は世界でも稀な美しく清潔な街として記録されており、たとえば「ゴミひとつ落ちていなかった」という。
超清潔好き(神経質とも言う)な現代日本人のルーツがここにある。
7.あり得ないばかりの武家の自由恋愛
などなど。
「龍馬伝」は歴史を知っている大人が見て初めて無害のドラマでないかと思えるようになってきた。
だからいそのことR-18指定するか、
「このドラマはフィクションです。」
のテロップを入れていただきたいと強く希望するのだ。
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