<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「強い揺れが来ます。注意してください!」

会社の館内放送から緊急地震速報のメッセージが警報音と共に流れてきた。

「なんだなんだ、故障か?」
事務所内がざわざわしているとすこし遅れて携帯電話にもメッセージが飛び込んできた。

「奈良県で強い地震が発生しました。強い揺れに備えてください」

の表示が現れた。
誰かが言った。

「おーい、30秒後に来るらしい!みんななんかに捕まって」

緊張が走る。
10秒。
20秒。
30秒。
1分。

結局地震は来なかったのであった。

昨日の緊急地震速報の誤報は気象庁の「ごめんなさい」の一言で収拾したが、すべての電車が止まってちょっとした影響がでた。
それよりもなによりも、本当に緊急地震速報が鳴ったら、どういう気分になるのかということを実地にしることになって、そのほうが良い教訓になったのであった。
正直、気象庁に怒りに気持ちはない。
むしろリアルな訓練になったとの想いがひとしおである。

私の会社の大阪本社に勤務する社員の半分以上が何らかのかたちで阪神大震災を経験しており、中には震度7という揺れがどのようなものであるのか実際に経験したものもいる。
当時住んでいた堺市内の私の家は震度6のエリアで小さな本棚が倒れて、中学生の頃から大切にしていたプラモデルの箱が破壊され、ゴミクズと化した。

「地震や!起きて」

と叫んだあの日の朝のことを思い出し、正直気持ちのよいものではなかった。
ついでながら勤務している事務所は臨海部にあるため、

「津波、来るんやろか」

という冷静な声も聞かれた。
しかし、津波に備えて誰かが動き始めるということもなく、震源が奈良ということもあって津波よりも直下型の鋭い揺れに緊迫したムードを漂ったのであった。

私は自分の席で吹田にある大学の中にある自分の会社のラボへ行く準備をしていたのだが、
「奈良で地震やったら、いまから仕事が大変になるな。」
と神戸の時のことを思い出していた。
呑気に大学で学生相手に冗談を言っている場合やなくなるな。
と考えていたのであった。

地震が誤報であったことは、すぐさま緊張を解すことにならなかった。
もし本当に大阪を震度7や6強の地震が襲っていたら、と考えただけで背筋に冷たいものが走った。

地震速報の誤報はいろんな教訓を与えてくれた大きな事件なのであった。




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