沖縄の那覇から国道を名護に向かって走っていたら途中、昼になった。
昼になると自動的に昼ごはんを食べたくなる私は何か沖縄らしい物を食べたくなって国道を少し横道に入ったところに、そこそこの店構えの沖縄そば屋さんを見つけた。
沖縄そばは私の好物の1つである。
店に入ると沖縄民謡がかかっていて2~3人いる店員さんは皆琉球衣装をまとっている。
「いらっしゃませ」
沖縄らしい明るい雰囲気で私は嬉しくなった。
さっそく沖縄そばとスパムがセットになった昼定食を注文。
できればオリオンビールも頂戴したいところだが、自動車運転中なのでそれは我慢。
モノレール以外に電車のない沖縄の辛いところだ。
暫し店の中を観察していると、多くのビジネス客や地元の人達に混じってアメリカ人の姿が多いことに気がついた。
そういえば、このそば屋のある街にも米軍基地がある。
10分ほどしてお盆に載せられた定食が運ばれてきた。
これこれ。
このラーメンと蕎麦の中間のような味わいが、たまらない。
スパムの焼いたものが定食についてくるのも沖縄ならでは。
嬉しいな~、と思いながら食べていると米軍関係者と思える外国人のご一行さん3人が店に入ってきた。
すると店員の女の子は慣れているのか3人のところへ歩み寄り。
「いらっしゃいませ」
と日本語で言った。
でも、日本語はそこまでで、そこからは流暢な英語で3人をテーブルに案内して注文をとると何事もなかったかのように厨房に向かって去っていった。
正直、私は唖然としていた。
米軍関係者が入ってきたことにではない。
沖縄だからそんなことは当たり前なので珍しくもなんともないのだが、そば屋の店員の女の子、失礼ながら、それもどこにでもいそうなアルバイト学生のような(かなり可愛かったが)女の子がネイティブな発音でアメリカ人の客を扱い、普通に振舞っていたことに驚いていたのだった。
「.......沖縄やな~........」
蕎麦を食べる箸をとめ、意味もなくつぶやいていたのであった。
実は私は今はマーケティングと研究員の仕事を担当しているのだが8年ほど前までは普通の営業マンだった。
担当地域は大阪を中心とする関西圏と鳥取、島根の山陰、そしてなぜか沖縄県も入っていたのだった。
従って沖縄には10年と少し、年に数度仕事で訪れていたわけだが、その沖縄が実はダブルスタンダードな地方であることに気付くにはさして時間はかからなかったのだ。
ダブルスタンダート。
それは何かというと、在日米軍には反対だが、賛成でもある、という複雑な事情のことだ。
沖縄はビジネスの民間プロジェクトが少なく、畢竟公共事業や自衛隊や米軍関連の仕事がビッグということになる。
県民のほとんどすべてが、この公共事業と防衛関連に関係していて、それを無視しては食べていけない構造になっているのだ。
国や一部の大企業などによる物流拠点や貿易特区などの試みはそれはそれで結果を出しつつあるものの、まだまだ経済を潤すところまでには至っておらず厳しいところだ。
また戦後半世紀、米軍との深いつながりを持ってきてしまったためにプライベート面でも米国との繋がりの濃い人が多く、米軍に対する悪言雑言は沖縄の人たちからはなかなか耳にすることはない。
そう。
沖縄の人たちから基地問題に対する強烈な批判を訊くのは容易ではない。
むしろ、
「基地がなくなると困りますから」
ということは頻繁に耳にしたのだった。
「基地よ出て行け」
と叫んでいるのは大抵の場合、本土からやってきた内地の人たちで、それも大阪弁で言うところの「なんとなくケッタイな連中」なのであった。
そのケッタイな連中にマスメディアが含まれていることは言うまでもなく、その筆頭がNHKと朝日新聞。
これらマスメディアは何かについて米軍を非難し、出て行けコールを叫ぶわけだ。
尤も米軍にもそれを言われても仕方がない程度の低さには反省すべきだが、自衛隊とは違いモラルの範囲が限定されているのか同情できないところがあまりに多い。
今大騒ぎしているオスプレイの配備にしても、マスメディアは、
「ヘリコプターの墜落事故があったばかりなのにオスプレイの追加配備に踏み込みました」
とさも反対を前提にしたような放送法違反の疑いのある報道にこれ努めている。
「沖縄県民は怒りに燃えている」
と言いながら、
「ホンマにそうかいな。スカイマークの安チケットで東京から押しかけている革マル崩れの化石連中ちゃうんか」
と思いたくなるのは私だけだろうか。
そもそもオスプレイが配備されるのは対中防衛の一環であることは中学生の我が娘でもわかろうというもの。
平時であれば要らぬ兵器かもわからないが、ならず者中国の艦船が領海侵犯を繰り返しているのは周知のこと。
これに圧力を加えているのが中国の技術では製造不可能なオスプレイというわけだ。
もしそういう軍事的防衛行動を取らないとどうなるのか。
ならず者中国の艦船が近所をウロウロしている沖縄県民の立場になってみると、オスプレイはともかく防衛力強化は歓迎ではないのだろうか。
沖縄の立場をわかりやすく説明すると、家の近所を地上げ屋暴力団がドスをもってウロウロするのに「警察で警備を」とお願いしているのに対して、マスコミが「暴力団はともかくとして、拳銃持っている警察はいけません。セコムで我慢しないさい」と言っているようなものだ。
ともかくマスメディアはまずは「反対」。
だからオスプレイの報道と尖閣諸島に跋扈する魑魅魍魎は別個に報道する。
これって理由としては成立するが、日本のマスコミとして成立しないと思うのは私だけだろうか。
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