大阪維新の会が少々弱体化してきていてアイデアも乏しくなってきているのか、府営鉄道売却の点でピンぼけ決断をしてしまっている。
大阪府の第三セクター鉄道「泉北高速鉄道」を米国の投資ファンドに売却するのだという。
まったくもって、アホちゃうかという決断なのだ。
大阪南部の泉北ニュータウンを走る泉北高速鉄道は和泉市の和泉中央駅から堺市北区のなかもずまでつながっている路線だ。
泉北ニュータウンはEXPO70万博公園のある千里と同じ頃に開発された住宅地域だが、その規模が全国的にもトップクラスで大阪北部の千里ニュータウンよりも大きい。
従って利用者数は半端ではない。
私も高校時代はこの路線を利用して通学した。
開業以来40年ほど経過するが、大規模な住宅地を貫き、南海電鉄高野線に乗り入れ、そのまま難波まで直通運転しているので、経営は黒字だ。
この黒字の府営鉄道を、橋下市長が知事時代に、
「民間で経営できるものは民間に」
と言ったのをキッカケに、民間企業に売却することになった。
民営化は至極当然の判断だと、府民は賛成した。
私も賛成だ。
但し、南海電鉄が経営するのであれば、という暗黙の特記事項がついていたと思う。
別にJRでも構わないのだが、南海電鉄に乗り入れている泉北高速鉄道なので、南海電鉄に買い取られて当然という思いがあった。
ところが、蓋を開けてみると、利用者の利便性よりも売却額を選んだのだ。
ちなみに大阪府というのは民間が何かを起こすことに対しては、ほとんど抵抗のない文化を持っている。
これは江戸時代以来脈々と続くDNAで、行政が何かに関与するのを非常に嫌がる。
江戸時代、大阪の街中にかかる橋は8つの公儀橋を除いて全て民間管理。
下水道も民間管理。
道頓堀や長堀などの水運関係も民間管理。
なんでもかんでも民間で管理していた文化がある。
幕府なんて頼らなかったのだ。
現代も同じ。
大阪城も民間の力で建設した。
美術館も民間の寄付で賄った。
鉄道は省線よりも阪急や阪神、近鉄南海が戦前から力を持っていた。
ある意味、大阪市営地下鉄とバスは浮いた存在ということもできる。
少なくとも阪神大震災までは、そういう文化が存在した。
信じられない話だが、阪神大震災が発生するまであの阪神高速道路公団にも中央省庁からの天下りはいなかったという。
そんなの入れなくても十分に黒字経営だったのだ。
従って、府営鉄道の民営化も両手を上げて賛成した。
新聞報道によると、南海と米国ファンドの入札額は50億円の隔たりがあるそうで、東大阪の市長などは、
「その方が儲かっていいやん」
などと嘯いているそうだ。
だから東大阪は今も道が狭く、鉄道網も弱く、不便な町を脱却できないのだが、それは余談。
利用者にとっては南海電鉄が購入したほうが運賃は格段に下がるし、ダイヤも便宜がはかられるだろうし、車両はもともと南海のものが結構走っていたので、それはそれで安心だし。
というところだった。
南海電鉄は高齢化に伴う周辺人口30万人減という問題を抱えているし、泉北高速鉄道の経営は、人口問題に対処するための手助けとなり、公共交通という経営基盤にきっとプラスをもたらすはずだ。
この問題、大阪人にとって実は都知事選より重要な話題いなのだ。
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