「そうめんが食べたい」
と数週間前からカミさん。
よくよく調べてみるとラーメン屋、うどん屋、蕎麦屋というものは無数に存在するものの「素麺屋」というものはあまり聞いたことがない。
もしかすると「うどん屋」や「蕎麦屋」の夏季メニューとしては存在するのかもしれないが素麺専門店というのは存在しないのではないか。
すくなくもと私の地元周辺では「ぐるなび」や「食べログ」で検索しても素麺屋やそうめんが積極的メニューに採用されている店はなかった。
「家で作ったら」
と言ったら、
「誰かに作ってもらいたいの.......あなた作ってくれる」
となってしまった。
私は料理が全くできず、作れるのはチキンラーメン程度だ。
チキンラーメンができるのであればマルタイラーメンも作ることが可能だから、同じ乾麺である素麺はその応用と考えると作れないことはないと思うのだが、いかにせん面倒ください。
よって、
「そのうち奈良に行ったときに食べに行こうか」
と適当に答えておいたのだ。
その適当に答えていたことに応える必要が出てきた。
所要で奈良へ行くことになったからだ。
奈良というえば、かなりのパーセンテージでものの始まりが存在する。
最大のものは酒造り。
日本酒は奈良で作られ始め、それが各地に広がり現在に至っている。
考えてみれば当たり前で奈良は太古の昔は首都だったので、そこでいろんなことが始まってもいたって自然である。
酒について言えば、奈良の中南部に三輪明神大神神社があり、ここが酒の神様であることは酒飲みであれば知らないものはいない。
山の辺の道に接するこの三輪の地は素麺の産地でもあり、三輪そうめんといえば全国に名前の通っているメジャーな存在だ。
この日、私達は奈良市内に要件要件があったのだが、少し遠まりをして桜井市を周り三輪を訪れた。
そもそも三輪へ素麺を食べに来たのは関西で生まれ育って半世紀のわたしも初めての経験なのであった。
かみさんが旅行ガイドブックで目をつけていた三輪山本というお店に行ってみると、すごかった。
駐車場を埋める自動車は全国各地からやってきていた。
奈良ナンバーや大阪ナンバーだけではなかったのだ。
もちろん国道から駐車場に入るには車列ができていて駐車するまで15分待ち。
駐車してから店に併設されるレストランは1時間待ちなのであった。
店の中では素麺はもとより、素麺を使った菓子類も販売されていた。
素麺そのものも太さの異なる種類があり、この後レストランで食べることになった白龍というブランドの素麺は太さ0.6mmだが腰があり実に美味で奥行きのある風合いなのであった。
また菓子類も大阪帝塚山にある人気パティシエと共同で作ったと思われるクッキーは素麺のパリパリ感と小麦の香ばしさが相まってこれまた絶品なのであった。
素麺の専門店はなかなかない。
それでもその産地を訪れるとそこでしか見つけるのことのできない絶品を体験できるというのを強烈に感じた奈良訪問なのであった。
なお、三輪は案外近くて大阪の私の自宅からは1時間かからないことが判明。
今年の夏は素麺にハマってしまいそうな、そんな予感がしているところなのだ。