<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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奈良県のK−POPイベントの予算2億5千万円あまり。
これが最大の争点になっている。

高すぎるんじゃない。
税金を投入するな。
なぜK-POPなんだ。

というような意見が飛び交っている。

税金投入に゙関しては国際交流にしか使えない予算があり、そこから支出するので福祉や教育、インフラ整備など全く関係ない。
この件、マスメディアがあえて伝えてない内容だ。
まったくもってな連中なのだ。

なぜK-POPかというと「奈良県と韓国との長い歴史に鑑み」(1000年以上)ということなので、ま、大目に見るとする。
嫌だけど。

で、最大の問題は「高すぎるんじゃない」ということなので、本ブログではその予算について検証したいと思う。
何と比較して高いのか。

私はコンサートやライブのイベントは一つしか企画したことはないが、映像作品や展示会などのイベントは経験や知見があるので、その分野との比較をしてみたい。

まず、結果から述べると2億5千万円は規模にもよるがちっとも高くないと言っていい予算額だ。
なんといっても出演者にかかるコストは含まないのだから。(韓国側の支出)

例えばテレビの歌番組の代表である紅白歌合戦。
この番組制作費は5億程度と言われている。
NHKの番組制作費における美術関連予算は7割程度だと大阪芸大の学生の時に(講師はBKの川上潔先生(紅白歌合戦や大河ドラマ新平家物語を担当))教わった。
NHKは民放と違って出演者へのギャラが安くて美術に金をかけることができるといい、その割合はなんと約7割。
だから紅白や大河ドラマの豪華セットを製作することができるというわけだ。
したがって美術関連費(ステージ構築)は3億〜4億円ということになる。
これたった一晩の番組のためのステージ製作費用だ。

またドラマに関しては国内番組は知らないが、米国のテレビドラマの製作費は一般に1エピソードあたり4億5千万から15億円程度と言われている。
随分古い事例になるけれども1960年代後半に放送されたスター・トレックの最初のシリーズは3シーズンで打ち切られた。
その主たる原因は視聴率と製作費が折り合わなかったからで、当時の製作費が1エピソードあたり当時の日本円でおよそ3000万円(テレビジョンエイジより)。
当時の物価と現在を比較した場合、50年前の4倍程度にふくれているので現在の金額にすると1エピソード1億2000万円程度ということになる。
多分、現在WEB配信で放送されているスター・トレックの最新シーズンはそんな金額では製作できない。
恐らく最も高額な製作費で作られているシリーズの一つのはずだ。

幕張やビッグサイトでの展示会はどうかというと中小企業が集う産業メッセではなく大手企業や中規模企業が中心の大型展示会になると次のとおりになる。
これはモロ私の経験だ。
まず、主催者に支払う会場出展料が1ブースあたり安くて100万円。
1ブースのサイズは3mx3mが一般的で企業がまず1ブースで出すことはない。
私が勤務していた会社が出展した最大サイズは10ブース。
場所代だけで1000万円。
ここにブースの装飾費がプラスされるが、デザイン料等含めて値切って300万円。
展示するための製品製作費等で1000万円。
カタログやビデオなど販促ツールの製作で200万円。
社員以外の説明員手配で50万円。

動員される社員の経費は含めず直接目に見えるだけで2500万円。
その他様々な費用を加味すると3000万円は必要で、これが3日間で消費される金額だ。

恐らく東京モーターショーのような超ビッグイベントに出展する大手自動車メーカーは億単位の費用を投じていると考えられる。
ので奈良のイベントの金額はさして驚くにあたらない金額だ。

このようなことから考えるとK-POPとはいえ、そのスターたちを迎えて開催するイベントのステージはそれなりのグレードのはずで、ステージ設営費、照明設備、音響設備、中継費、奈良公園や奈良市内や文化財関連の警備費、広告費、鹿愛護会など各種団体へ支払う協力費などを考えると2億5千万は至極妥当な線だと思う。
もしかすると安いかも。

しかもそれを目当てにやってくる観客が奈良市内でお金を使ってくれれば文句はなかろう。
ビジネスと捉えた場合、何が高いのかよくわからないのが正直なところだ。

ただ一つ。
大きな懸念があるとすると、約束通りのことを相手方の韓国が実施するかどうか。
約束を守らないことでは定評のあるかの国のこと。
これは大いに心配すべき事柄ではある。


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