個人主義からコミュニティの時代へ ポール・コリアー、ジョン・ケイ著 勁草書房2023
オックスフォード大学の経済学者が英国を中心に、米国やドイツなどにも触れながら、個人主義、政府、そしてコミュニティという章立てで論じている。サンデル的に、新自由主義を批判し、サッチャーはもちろんだが、労働党の英国病やブレアの英国を批判的に論じ、コミュニティによる再生を謳うが、その目指すところは今一つはっきりとはしない。ロールズ等の哲学者の引用も多い。
30ページ以上の訳者解説がある。日本はどうかという問題意識なのだろう、新自由主義的なものに批判的かなと思って読むとそうでもない。新自由主義的なものをうまく利用して大したパフォーマンスも上げずにいいとこどりをしている現状を厳しく批判しており、それは正しい指摘だと思うし、そのことについてもっと調査し、訴えていって欲しいものだと思った。