プロは違うなぁと思った
芥川賞作家であって、芸人の又吉直樹氏のNHK番組が昨日放送された。注目していたので、録画もとった。しかし、録画と同時進行で見てしまった。メモまで持って。
一言感想。
すばらしい番組だった。こういう才能があるんだと正直思った。いろいろな現実の出来事を、自分がどう受け止めたかということを非常に大事にされている同氏の姿勢に豊かな才能を見た。また、そういう才能を発見し育成していった編集者の存在も見事なものであった。文藝春秋社や新潮社の編集担当の方々(今回文藝春秋社の方は登場してこなかったけど)である。
なんだかロシア文学あたりに出てくる青年みたいで、好ましい映像がたくさん出てきた。
同氏は、三鷹台あたりに夜中タクシーを飛ばして行く。20代の頃にここに住んでいたとのことであった。そして歩く。夜中の三鷹台を。
そこから自分の意識の中に登場してくる暗闇を扱っていくのだそうな。
なるほどである。意識と想像。そういうものが執筆の時に登場してくるのをじっと待っているのだそうな。
さもありなん。
さらに参考になったのが、同氏の執筆ツール。SONYのVAIOを使っていたのであるが、ワープロの画面に原稿用紙スタイルが映し出されていた。
これがキーワードである。つまり、原稿用紙スタイルだと文章を打鍵する際に、かなりのパワーを要する。苦心していく。そりゃそうだろう。ボキのようなデタラメではないからである。さすがプロである。
芸人としてもプロなら、小説家としてもプロ。
プロは違いまんな。
スタイルも、思考方法も。
いい勉強になりましたよん。
以下はNHKのサイトから
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170226
>京都内の、とある場所にある、築30年の風呂なしアパート。6畳一間。この部屋を選んだのは、食うにも困った時代を自分に忘れさせないためだ。2015年に「火花」で芥川賞を受賞した、又吉直樹(36歳)の仕事場である。処女作「火花」は、250万部という驚異的なベストセラーとなった。本など読んだこともない若者達が、漫画を読むように手に取り、初めて小説の面白さに触れたという者も多い。しかし、純文学では、処女作が最大のヒットとなり、そのまま消えていく一発屋も少なくない。今、又吉直樹は、このストイックな部屋で第二作の執筆に挑んでいる。作家としての真価が問われる、大きな正念場である。
しかし、なかなか物語は立ち上がっていかない。売れっ子芸人でもあり、執筆の時間も限られている。最も苦悩しているのが、文学性と大衆性を両立させることである。文学などに関心のない若者たちに読んでもらえるものとはどんな作品なのか。睡眠時間を削り、魂を削りながら苦闘を続ける。 番組では、又吉直樹の第二作の執筆に密着する。私たちが普段見ることのできない、ひとつの作品が生まれるまでの創作の過程を、カメラは克明に記録する。