子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2010年TVドラマ冬シーズンレビューNO.2:「曲げられない女」,「宿命 1969-2010」

2010年01月31日 19時33分25秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
仲間由紀恵や上戸彩等々,かつての連ドラの女王の座にあった女優達が数字争いにおいて次々と失速していく中,最早ヴェテランの領域に入りつつある菅野美穂の安定感は今,どの局にとっても垂涎の的なのは間違いない。
今クールの新作である日テレ「曲げられない女」も,スタートからの3回平均が13.54%と,軽々と17%をクリアして別次元にいる「コード・ブルー2nd」に続く第2位の立ち上がりとなっており,地味な内容から見てもその磐石振りは際立っている。

9年間弁護士試験へのチャレンジを継続している一人暮らしの32歳,という設定が,管野のキャラクターにはまっている。タイトルが同じような印象を与えるフジの「まっすぐな男」とかぶってしまうのではないかという危惧もなんのその,谷原章介,永作博美,塚本高史という演技のレンジの広い共演者に囲まれて,管野は彼女の十八番となりつつある「不器用で世渡りは下手だが,胸が透く一本道の生き方」を鮮やかに見せてくれている。

管野が親譲りの習慣である「10年日記」に,10年間変わらず「1時半まで勉強」と記入した後に,今年だけ身辺の動きと感情を付記してしまうことで,彼女が新しい世界に踏み出していくのかもしれないという予感を感じさせる演出も巧み。マイケル・ジャクソンの踊りはともかく,ここまではリアルで切実な「生き方考証ドラマ」を,過度に重たくさせずに見せることに成功していると言える。

市井に生きる人のリアルさという点では,「曲げられない女」とは正反対の方向に舵を切っているのが,テレビ朝日金曜9時の「宿命」だ。小説のドラマ化ということだが,大病院グループの御曹司でありながら,東大法学部を出て財務官僚となった主人公(北村一輝)が,10年間付き合ってきた女(小池栄子)を捨て,与党の幹事長の娘(上原美佐)と結婚することによって国会議員,更には総理大臣を目指そうとするが実は二人は…というストーリーは,韓国ドラマの愛好家に言わせると「典型的な韓ドラ」のものらしい。

キャスティングにおいてもまた「曲げられない女」と正反対に,北村一輝という,濃すぎるが故に主役は難しいのではないかと思われてきた俳優を看板に据えた段階で,制作陣はギャンブルと割り切っていたはずだが,数字的にはこれまでのところ予想通りの苦戦を強いられてはいる。
だが,坂上かつえという主に2時間ドラマを主戦場としてきた脚本家を起用しただけに,小池栄子が上原美佐に近付くシーンにおける猟奇的なテイストには,冴えが見られた。
今後,平凡な権謀術数路線に陥らず,北村が持つホラーと紙一重の狂気を煽るようなドロドロの展開になっていけば結構面白いかもしれないという予感はある。
テレ朝よ,一皮剥けてくれぇ!


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