このところ,サッカー日本代表の人気が急落している,というニュースが喧しい。
岡田監督にオシム前監督のようなカリスマがない,岡田監督の戦術と選手の指向がフィットしていない,中田英寿引退して以降,その後を継ぐような人気選手が出て来ない,選手の入れ替わりが激しく顔が憶えられない,等々,様々な理由が取り沙汰されている。だが私は,日本がこの15年間で急激に成長を遂げた結果の代償として,アジアにおける日本の試合が,スピード豊かで拮抗した攻防という,現代サッカーの根源的な魅力を湛えた闘いから,いつの間にか遠く隔たってしまったことも,大きな要因ではないかと考えるものだ。
米国W杯出場を逃した1993年のドーハでのイラク戦や,フランスW杯出場を決めた1997年のイラン戦において,押し込まれたDFラインに向かって「しのげぇー!」と叫んだ記憶はいまだに鮮明だ。
しかし現在,全体的には劣勢ながらも,選手の頑張りと一体感によってどうにか一進一退の展開を維持しつつ,残り時間を気にして時計を睨む観客を熱狂させるような試合は,(日本代表の試合数としては,当たり前ながら最も多い)アジアの大会においては殆ど観ることが出来なくなってしまった。
勿論日本が強くなって,サッカー強国に吾して立つ姿をこそ,サッカーファンは見たいはずだ。しかしその一方で,アジアにおける殆ど全ての試合で,日本代表チームが積み上げてきたボール支配率の高さ(それが必ずしもチームの「強さ」ではないところがサッカーの面白いところなのだが)は,試合展開がどう転ぶか分からない,という心配を観客にさせない替わりに,ハラハラどきどきを堪能する楽しみを奪ってしまった,という見方も成り立ってしまうのではないかと思うのだ。
べたーっと後ろに引いた4枚,時には5枚,ひどいときには6枚にもなるDFの壁を崩すには,個人能力の高さと組織的な崩しが高いレベルで調和する必要がある。そして,そんな瞬間は,90分間という限られた時間の中では,なかなか訪れない。
そうこうしているうちに,観客は次第に焦れ,ハラハラどきどきを味わうというサッカー観戦(この場合は「応援」という方がより正確か)の本来の目的から離れてしまってきたのではないか,という気がしている。
で,肝心のACLだが,今日のガンバの試合も,そういった代表チームのアジアにおける試合に近いテイストがあった。前半35分の佐々木の機転とレアンドロとの呼吸によって,勝利は間違いないものにしてはいたものの,試合の「興奮レベル」は低かった。
しかし後半開始から,ボランチを遠藤1枚に減らし,減らされたボランチの明神に替えてFWの山崎を投入したことで,後半のガンバの攻撃には次から次へと斬新なアイデアが生まれることとなった。
今日の西野監督の見事な采配には,代表の試合に求められている大胆さと観客を興奮させる閃きが,確実にあったと思う。ちょっと気が早いが,2014年のブラジル大会の時に西野監督は59歳(昨日7日が誕生日とのこと)。ちょっと,良い頃かも。
岡田監督にオシム前監督のようなカリスマがない,岡田監督の戦術と選手の指向がフィットしていない,中田英寿引退して以降,その後を継ぐような人気選手が出て来ない,選手の入れ替わりが激しく顔が憶えられない,等々,様々な理由が取り沙汰されている。だが私は,日本がこの15年間で急激に成長を遂げた結果の代償として,アジアにおける日本の試合が,スピード豊かで拮抗した攻防という,現代サッカーの根源的な魅力を湛えた闘いから,いつの間にか遠く隔たってしまったことも,大きな要因ではないかと考えるものだ。
米国W杯出場を逃した1993年のドーハでのイラク戦や,フランスW杯出場を決めた1997年のイラン戦において,押し込まれたDFラインに向かって「しのげぇー!」と叫んだ記憶はいまだに鮮明だ。
しかし現在,全体的には劣勢ながらも,選手の頑張りと一体感によってどうにか一進一退の展開を維持しつつ,残り時間を気にして時計を睨む観客を熱狂させるような試合は,(日本代表の試合数としては,当たり前ながら最も多い)アジアの大会においては殆ど観ることが出来なくなってしまった。
勿論日本が強くなって,サッカー強国に吾して立つ姿をこそ,サッカーファンは見たいはずだ。しかしその一方で,アジアにおける殆ど全ての試合で,日本代表チームが積み上げてきたボール支配率の高さ(それが必ずしもチームの「強さ」ではないところがサッカーの面白いところなのだが)は,試合展開がどう転ぶか分からない,という心配を観客にさせない替わりに,ハラハラどきどきを堪能する楽しみを奪ってしまった,という見方も成り立ってしまうのではないかと思うのだ。
べたーっと後ろに引いた4枚,時には5枚,ひどいときには6枚にもなるDFの壁を崩すには,個人能力の高さと組織的な崩しが高いレベルで調和する必要がある。そして,そんな瞬間は,90分間という限られた時間の中では,なかなか訪れない。
そうこうしているうちに,観客は次第に焦れ,ハラハラどきどきを味わうというサッカー観戦(この場合は「応援」という方がより正確か)の本来の目的から離れてしまってきたのではないか,という気がしている。
で,肝心のACLだが,今日のガンバの試合も,そういった代表チームのアジアにおける試合に近いテイストがあった。前半35分の佐々木の機転とレアンドロとの呼吸によって,勝利は間違いないものにしてはいたものの,試合の「興奮レベル」は低かった。
しかし後半開始から,ボランチを遠藤1枚に減らし,減らされたボランチの明神に替えてFWの山崎を投入したことで,後半のガンバの攻撃には次から次へと斬新なアイデアが生まれることとなった。
今日の西野監督の見事な采配には,代表の試合に求められている大胆さと観客を興奮させる閃きが,確実にあったと思う。ちょっと気が早いが,2014年のブラジル大会の時に西野監督は59歳(昨日7日が誕生日とのこと)。ちょっと,良い頃かも。