折節の移り変わるこそ

季節の移ろいの中に、感じたままを一日一日。

折節の移り変はるこそ

2010年03月22日 21時51分25秒 | 春分
                                                 (2010年3月22日 大分市)

  
  (una poesia di oggi)

◇ 折節の移り変はるこそ、ものごとにあはれなれ。

  季節の移り変わるさまは、何事につけても趣深く感じられるものだ。

       

◇ もののあはれは秋こそまされと、人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、

  物事のしみじみした情緒は秋がもっとも優っていると誰しも言うようだが、
  それも一応はもっともなことであるけれども、

       

◇ いまひときは心も浮き立つものは、春の気色にこそあめれ。

  さらに一段と心も浮き立つものは、やはり春の景色であると思われる。 

       

◇ 鳥の声などもことのほかに春めきて、のどやかなる日影に、垣根の草萌え出づるころより、

  鳥の声などもことのほかに春めいてきて、のどかな日の光に垣根の草が芽を出し始める頃から、      

        

◇ やや春深くかすみわたりて、花もやうやう気色立つほどこそあれ、

  しだいに春が深まり霞がかかって、桜の花も次第に咲き進んで来そうになる、 

       

◇ 折しも雨風うち続きて、心あわたたしく散り過ぎぬ。

  ちょうどその頃に雨や風がずっと続いて、結局は気ぜわしく散ってしまう。   

       

◇ 青葉になりゆくまで、よろづにただ心をのみぞ悩ます。 

  桜が青葉になっていくまで、春はすべてに渡ってとにかく気をもませるばかりである。
  
       
                                      (紅葉)
 
◇ 花橘は名にこそ負へれ、なほ梅のにほひにぞ、いにしへのことも立ち返り恋しう思ひ出でらるる。 

  橘の花は思い出を呼び戻すということで有名であるが、
  それよりも梅の香の方が過去の記憶へと立ち返って、あの日を恋しく思い出させてしまう。  

       

◇ 山吹の清げに、藤のおぼつかなきさましたる、すべて、思ひ捨て難きこと多し。

  山吹の花の清らかさ、藤の花の今にも消えそうな姿を見るにつけても、
  こうした想いを捨ててしまうことなどできるわけがない。
 
         

                   徒然草 第十九段より  吉田 兼好(1283 ? - 1352 ?)

◇ もうお気づきの方も多いと思いますが、私のブログ・ネーム「折節」は徒然草のこの段からお借りしています。
  今年の桜、早くも咲き進んでいます。
  さて、明日から出張その他で、ブログの更新をしばらくお休みします。
 
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庭の北側の春

2010年03月22日 20時31分16秒 | 春分
                                        □ 庭の北側、今はこんな彩り。

◇ 北向き玄関ですので、入ったらすぐ左手がヘレボルスなどのコーナーとなります。
  もちろん半日陰のバラ達のコーナーでもあるのですが、まだまだバラの春には程遠いこの頃です。
  ちょうど花の姿が独特なムスカリと、花の色合いが個性的なヘレボルスの組み合わせとなりました。
  ヘレボルスは鉢植えの半数ほどがこの春の初開花ですので、どこかしら見慣れない光景に感じます。

       
         □ ヘレボルスは満開のまま時が止まったような趣き。

◇ レンズ越しにふと目についた、この花の色は何と呼んだらいいんでしょう。
  黒百合かなあと思ったんですが、植えっ放しでよくわからなくなった花、私はいつもこんな調子です。
  数日で開花となるはずですから、そのうちにはっきりするでしょう。
  この辺りは貝母(バイモ)もすっきりとした姿を見せ始めましたが、控え目な春の花達も情緒があると感じ入ります。

 
        □ ヘレボルス・原種系「ステルニー」の幼苗の鉢の横にも蕾…。 

       
            □ チューリップ・原種系「レディ・ジェーン」
              先日の「春の嵐」の余韻、あちこち向いて…。

       
       □ 庭では、チューリップの春にも差しかかって来たようです。
         いつの間にか、庭の東側一帯に移りました。  
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